2013年12月30日

スクロヴァチェフスキ&読売日響のブルックナー:後期3大交響曲


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1923年生まれの現役最長老指揮者(2012年時)スクロヴァチェフスキが、第8代常任指揮者を経て桂冠名誉指揮者となっている読売日本交響楽団と完成させた、ブルックナーの後期交響曲をセットにしたアルバム。

スクロヴァチェフスキは、ヴァントや朝比奈、ザンデルリンクが他界した今、ブルックナーを得意とした巨匠の最後の生き残りである。

より若い世代では、ズヴェーデンやヤングなどがいるが、まだ円熟の域には達していないのではないかと思われる。

既に、スクロヴァチェフスキは89歳であり、これから遺される録音は、貴重な遺産としていずれも見逃すことができないだろう。

「第7」は冒頭の弦楽のトレモロから、あたかも聖フローリアンを吹く一陣のそよ風のような至純の美しさであり、その後は、ゆったりとしたテンポによる巨匠の歩みで曲想を進めていく。

テンポは微妙に変化するが、恣意的な箇所を聴くことはない。

造型は堅固であるが、スケールは雄渾の極み。

弦楽器も管楽器も実に美しい音色を出しており、トゥッティにおいても金管楽器はいささかも無機的な音を出すことはない。

これは、巨匠スクロヴァチェフスキの圧倒的な統率によるところも大きいが、これに応えた読売日響の抜群の力量も大いに賞賛に値する。

特に、第1フルート奏者や第1ホルン奏者は特筆すべき圧巻の技量を誇っている。

これほどの高みに達した演奏になると、聴き手は、滔々と流れる極上の音楽にただただ身も心も委ねるのみだ。

「第8」は演奏が開始されると、冒頭の心底から絞りだすような低弦の響きからして、もはやこの世のものとは思えないような次元の高い音楽だ。

一部の高名な批評家からは、朝比奈やヴァントのブルックナーに比して、スクロヴァチェフスキのそれは、やたらバランスを重視し過ぎとの批判も寄せられているが、本CDからは、そのような欠点はいささかも感じられない。

第1楽章では、さすがに来日の疲れもあるのか、やや調子に乗り切らないところもあるように思うが、第2楽章からはほぼ完璧。

第3楽章の清澄な音楽は、巨匠スクロヴァチェフスキとしても、最晩年に至って漸く到達し得た至高・至純の境地と言える。

終楽章の、ややテンポを速めに設定した生命力溢れる力強い指揮ぶりは、もはや86歳(当時)の老巨匠の指揮とは思えないような迫力である。

「第9」は第1楽章の冒頭から実に荘重で深沈とした開始であり、ここだけでも他の指揮者とはそもそもものが違う。

ただ、いささか残念なのは中間部で、テンポをやたらいじっていることだ。

これでは音楽が矮小化してしまわないか。

本盤でマイナス点を指摘するとすればこの部分であり、他の箇所が素晴らしいだけに大変残念だ。

終結部は再びインテンポによる堂々たる進軍だ。

第2楽章は凄まじいスピードだ。

それでいて、金管楽器などは決して上滑りすることなくしっかりと鳴り切っており、迫力においてもいささかの不足はない。

そして本名演の白眉は終楽章。

これは、ヴァントや朝比奈にも匹敵する至高・至純の高みに達していると思う。

ゆったりとしたインテンポで一貫しており、スケールの雄大さにおいても比類がない。

まさに、スクロヴァチェフスキのブルックナー演奏の総決算であると高く評価したい。

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classicalmusic at 00:03コメント(6)トラックバック(0)ブルックナー | スクロヴァチェフスキ 

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コメント一覧

1. Posted by Kasshini   2014年01月14日 17:33
お久しぶりです。

個人的には、スクロヴァチェフスキの ブルックナーはとても好きです。
1.ジョージ・セル同様、透明で清涼感に溢れていて、細かいテンポ指示に追随するところ。そして、金管がとてもまろやかなところ。スクロヴァチェフスキは、ジョージ・セルに招かれてクリーヴランド管弦楽団を指揮しているので、考えが似ているのかなと思っています。

さて、ここから質問をします。
8番であれば、ザール・ブリュッケンと読売日響どちらがいいでしょうか。私の暮らしている街の図書館では読売日響がきけませんので。
9番はミネソタ響を愛聴していますが、読売日響と比較してどうでしょうか。

2. Posted by 和田   2014年01月14日 18:18
Kasshiniさん、コメントありがとうございます。
私は、スクロヴァチェフスキのブルックナー演奏については、本文に書いた通り、読売日響との録音を推薦しており、これは晩年のヴァントや朝比奈にも匹敵する至高・至純の境地に達していると思います。
但し、7番に関してはその後ロンドン・フィル盤が発売され、この老巨匠がさらなる高みに達したことを実感させる素晴らしい演奏でした。
9番のミネソタ盤は未聴ですが、スクロヴァチェフスキも他のブルックナー指揮者と同様、高齢になるにつれ、神がかり的な崇高な演奏を成し遂げるようになり、また、ヴァントと同様、後年の演奏になるにつれ、細部への拘りや神経質さがなくなり、懐の深さ、奥行き、スケールの大きさなどが具わってきた点も特筆したいと考えています。
いずれにしても、この指揮者の今後の動向を見逃すことはできないでしょう。



3. Posted by Kasshini   2014年02月10日 11:25
8番と9番を、単品ハイブリッドSACDを買いました。CDでの感想になります。第一印象は、本当に日本のオケなのでしょうか。私の駄耳には、ドイツ語圏の名桶とそん色がない物でした。この音源では第3楽章、第4楽章では、時折唸り声が聴こえてくるのがとても印象的でした。後年のグールドの演奏のようで。ライブの感想で唸り声が聴こえると書く人が多かったのですが、私が行った唯一の実演、代作&詐欺で話題になっている人物の昨年夏の演奏会では聴こえなかったので。
アナログケーブル経由で、Piramixシステムで、DSDサラウンド転送でフルスペックで聴いてみたいですね。
また、いつになくヴィーンフィル顔負けの金管のまろやかさと雄大かつ筋肉質な演奏に圧倒されました。
確かに、素晴らしい演奏と思いました。
4. Posted by 和田   2014年02月10日 12:08
Kasshiniさん、コメントありがとうございます。
ご指摘のように読売日響は、優れた指揮者の統率の下に演奏すると、驚くべきオーケストラに変貌するのです。
次はスクロヴァチェフスキがロンドン・フィルを指揮した「第7」を聴いてみて下さい。
きっとご期待にそえる名演だと思いますよ。
ところで、佐村河内なる者はとんでもない詐欺師でしたね。
私はNHKスペシャルで放送された時は、ブログにコメントしなければならないのかな、とも思いましたが、無視し続けて正解でした。
5. Posted by Kasshini   2014年02月10日 12:48
読売日響、スクロヴァチェフスキコンビで元々知っていた演奏で凄いと思ったのは、モーツァルト 交響曲第41番でした。セル・クリーヴラント、ヴァントと比べても負けないくらいでしたね。
こちらで、佐村河内作品に触れたので。私は、展示にも行き、約2万払って鬼武者のサントラも買っていますが、それ自体の公開はありません。ゴーストコンポ―サーも、その世代ではトップクラスのカメレオン的資質を持ったコンポ―サーであり、名ピアニスト・教官。名前を知り、特定可能な資料は一折所持していたのに、第一報が流れた時に、特定できなかった自分が、悔しいかったですね。私は、後悔していないのですが、エピソードに乗せられただけの人が可哀そう。詐欺の酷さが、ヴァーグナー、ヒトラー級と考えています。NHKに映ったさまよえるクラヲタ人さんは、やり取りしていますが、アバド逝去ショックに質問攻めで、回復が遅れそうですし。

ここで本題に戻しててしまうのですが、ザンクトフローリアンライブ映像で、印象的な音源はありますか。
個人的には、カラヤンブル8を買う予定ですが。映像は、スクロヴァチェフスキのBDが入れば個人的には良いのかなと考えています。
6. Posted by 和田   2014年02月10日 15:53
カラヤンのブル8は買って損はないと思います。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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