2013年12月30日
クレンペラー&ベルリン・フィルのブルックナー:交響曲第7番
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1958年9月3日、ルツェルンでのライヴレコーディング(モノラル)。
クレンペラーが珍しくベルリン・フィルを指揮した、ブルックナー「第7」の隠れた名盤。
カトリックのブルックナーにかなり辛辣だったクレンペラーだが、ここでは稀に見る途轍もない名演を成し遂げている。
剛毅で重厚なクレンペラーのアプローチと、ブルックナーの交響曲中で最も優美な「第7」の取り合わせ。
どう見ても、なかなか噛み合わないのではないかと大いに危惧したが、聴き終えてそれは杞憂に終わった。
比較的にテンポが速いのだが、見事なハーモニーとアゴーギク、揺るぎないテンポの深さ、全楽章の表現力量配分の適正さ、なかでも終楽章が絶品。
第1楽章の冒頭からして、深沈たる深みのある演奏であり、随所で聴かれる美しい木管の響かせ方もクレンペラーならではのものだ。
第2楽章も崇高な演奏であり、決して低俗な抒情に流されることなく、格調の高さを失わない点はさすがと言うべきである。
第3楽章は、クレンペラーの剛毅で重厚な芸風に最も符号する楽章であり、テンポといい強弱の付け方といい、文句のつけようのない素晴らしさだ。
終楽章も、踏みしめるようなリズムなど、ベルリン・フィルらしい重量感溢れる演奏であり、「第7」の欠点とも言われるスケールの小ささなど微塵も感じられない。
この交響曲で終楽章を際立たせる演奏は、なかなか他では見出だせない。
それにしても、クレンペラーが、このような優美な「第7」で名演を成し遂げるというのは実に不思議だ。
メンデルスゾーンの「スコットランド」や「真夏の夜の夢」などで名演を成し遂げたのと同様に、これは指揮界の七不思議と言ってもいいかもしれない。
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