2013年12月30日
クレンペラー&ケルン放送響のブルックナー:交響曲第8番
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1957年6月7日 ケルンWDRフンクハウスでのライヴ録音である。
クレンペラーのブルックナー「第8」では、最晩年に近い1970年にニュー・フィルハーモニア管弦楽団を振ったスタジオ録音があるが、こちらは第4楽章で大胆なカットが入っており、それを理由に一般には評判が芳しくない。
一方、本盤は遡ること13年前、カットなしの演奏である。
いやはや驚くべき演奏である。
レコ芸にこの新譜の批評が載っていたが、そこで「この演奏には人間の情感や意図を超えて、大宇宙の鼓動や深奥へと踏み入ろうとする様な、壮絶な気迫が溢れている」といった文章を読んで、まさしくその通りだと共感した。
クレンペラーのライヴ演奏には、こうした神がかり的な圧倒と説得力が必ず現れている。
演奏時間は決して遅くないが、せかせかした印象など皆無で、ブルックナー「第8」が純交響楽作品であることを、この演奏ほど見事に提示した例は他にない。
巨大な構築力を感じさせ、またゴツゴツとした鋭角的な枠取りが特色で、いわゆる音を徹底的に磨き上げた流麗な演奏とは対極に立つ。
また、第3楽章などフレーズの処理でもややクレンペラー流「脚色」の強さを感じる部分もある。
筆者は日頃、ヴァント、朝比奈の「第8」を好むが、このクレンペラー盤は、その「個性的な際だち」では他に例をみないし、弛緩なき集中力では両者に比肩し、第1、第4楽章のスパークする部分のダイナミクスでは、これらを凌いでいるかも知れない。
ケルン放送響は、クレンペラーにとって馴染みの楽団だが、ライヴ特有の強い燃焼度をみせる。
今でも日本では語り草になっているマタチッチ&N響の一期一会の「第8」に連想がいく。
リスナーの好みによるが、筆者にとっては「第8」のライブラリーにまた一つ名盤が加わった新たな喜びを感じる。
さらに、この時代のライヴ録音としては、驚異的に音質が良い。
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