2013年12月31日

セル&クリーヴランド管弦楽団/ライヴ・イン・東京 1970


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セル&クリーヴランド管弦楽団による数々の演奏は、鉄壁のアンサンブルをベースに、あたかもすべての楽器が室内楽的に融合したかのように聴こえるきわめて精緻なものであった。

このような演奏を称して、「セルの楽器」と言われたのも十分に納得できるところだ。

しかしながら、そのような鉄壁のアンサンブルを誇る演奏がある種のメカニックな冷たさを感じさせたのも否めない事実であり、1960年代半ば頃までの演奏にはそのようなものが散見されたところであった。

しかしそれも1960年代後半になると、セルも最晩年になり円熟の境地に達したせいもあると思うが、かかる鉄壁のアンサンブルを維持しつつも、クリーヴランド管弦楽団の各奏者にある種の自由を与え、より伸びやかな演奏を行うようになったように思われる。

特に、EMIに録音したシューベルトの交響曲第9番「ザ・グレイト」(1970年)やドヴォルザークの交響曲第8番(1970年)はその最たる例であり、旧盤に比較して、随分と柔軟さを増した情感豊かな演奏に仕上がっている。

本盤に収められた演奏は、セルの死の2か月前の来日時のコンサートのライヴ録音であるが、いずれも前述のようなセルの最晩年の円熟の至芸を味わうことができる素晴らしい名演と高く評価したい。

モーツァルトの交響曲第40番については、セル&クリーヴランド交響楽団によるスタジオ録音(1967年)が存在しているが、演奏の差は歴然。

当該スタジオ録音盤では、オーケストラの機能美を全面に打ち出した非常に引き締まった演奏であったのに対して、本演奏では、もちろんクリーヴランド管弦楽団の桁外れの合奏能力を聴くことは可能であるが、一聴すると何でもないような演奏の各フレーズの端々から漂ってくる豊かな情感には抗し難い魅力があり、セルの円熟を感じることが可能な素晴らしい名演に仕上がっている。

また、シベリウスの交響曲第2番については、コンセルトへボウ管弦楽団とのスタジオ録音(1964年)が存在し、オーケストラの違いもあるせいか、セルとしては情感豊かな名演であったことから、本演奏との差異はモーツァルトの場合ほどは大きくない。

しかしながら、手兵クリーヴランド管弦楽団の圧倒的な合奏力は、本演奏に独特の緊張感を生み出すとともに、実演ならではの熱気やセル自身の円熟味も加わり、至高の超名演に仕上がっていると高く評価したい。

併録のウェーバーの歌劇「オベロン」序曲やアンコールのベルリオーズのラコッツイ行進曲も、セル&クリーヴランド管弦楽団の黄金コンビによる卓越した至芸を味わうことが可能な超名演だ。

録音は、従来盤ではややメカニックな音質であり、満足できる音質とは言い難い面があったが、その後、DSDマスタリングを施した盤が発売され、見違えるような鮮明な音質に生まれ変わった。

これによって、最円熟期のセル&クリーヴランド管弦楽団の演奏の凄みが漸く鮮明に再現されることになったことを大いに喜びたい。

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classicalmusic at 16:07コメント(0)トラックバック(0)セル | シベリウス 

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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