2013年12月31日
ベーム&チューリッヒ・トーンハレ管のブルックナー:交響曲第8番(1978年ライヴ)
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ベームのブルックナー「第8」には1976年にウィーン・フィルを指揮したスタジオ録音盤もあり、そちらも優れた演奏であったが、厳格でスタティックですらあったそこでのアプローチに較べ、今回の1978年のライヴ盤は、実演のベームならではの熱気が随所に感じられてとにかくホットな演奏。
これこそ、ライヴならではの醍醐味が味わえる一枚ではないだろうか。
年をとるにつれて徐々にテンポが遅くなっていったベームが、ライヴで思いっきり爆発した。
2年前のウィーン・フィルとの録音に比べて8分ほど速くなり、物凄い熱い演奏を繰り広げている。
ベームの当時の年齢からいって、このテンポ設定(特に終盤)は超人的。
演奏は、ベームの職人的な音楽造りが魅力的で、確固たる構成力と細かなニュアンスを織り込んでゆく見事さはすばらしい。
ベームはブルックナー、ワーグナー、R.シュトラウスと向き合った途端、自分こそ1920年代にノイエザッハリヒカイト(新即物主義)の洗礼を受けた指揮者である事を何のためらいも無く露わにする。
この1978年にライヴ収録されたディスクでもその基本的演奏様式、オーケストラのバランス、遠近法などすべてそれまでのものと同様である。
嵐の如きパッセージに於いてもエネルギーは徹底的に内燃化され、凝縮された力を感じさせる。
必要以上に派手に鳴り渡る事も甘味に流れてしまう箇所も皆無である。
その一方で純粋オーストリア式の田園牧歌、群舞の風景を彷彿とさせる表現の幅広さも勿論充分である。
<峻厳と喜悦の同居>とでも云おうか、まさしく稀にみる音楽性に溢れたひと時、優れたブルックナー演奏を味わった後の<聴き手の身も魂も完全に燃焼され尽くした>あの独特の感銘、それも第一級の感動を味わう事の出来る一枚である。
一度指揮台に立つと集中し、没頭する余り我を忘れる、そんなベームの芸術家魂を見習いたいものである。
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