2014年01月03日
ルービンシュタインのショパン:スケルツォ全曲 [xrcd]
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古今東西の数多くのピアニストの中でも、ショパン弾きとして名を馳せた者は数多く存在しているが、その中でも最も安心してその演奏を味わうことができるのは、ルービンシュタインを置いて他にはいないのではないだろうか。
というのも、他のピアニストだと、古くはコルトーにしても、ホロヴィッツにしても、フランソワにしても、演奏自体は素晴らしい名演ではあるが、ショパンの楽曲の魅力よりもピアニストの個性を感じてしまうからである。
もちろん、そのように断言したからと言って、ルービンシュタインが没個性的などと言うつもりは毛頭ない。
ルービンシュタインにも、卓越したテクニックをベースとしつつ、豊かな音楽性や大家としての風格などが備わっており、そのスケールの雄渾さにおいては、他のピアニストの追随を許さないものがあると言えるだろう。
そして、ルービンシュタインのショパンが素晴らしいのは、ショパンと同じポーランド人であるということやショパンへの深い愛着に起因すると考えられるが、ルービンシュタイン自身がショパンと同化していると言えるのではないだろうか。
ショパンの音楽そのものがルービンシュタインの血となり肉となっているような趣きがあるとさえ言える。
何か特別な個性を発揮したり解釈を施さなくても、ごく自然にピアノを弾くだけで立派なショパンの音楽の名演に繋がると言えるところであり、ここにルービンシュタインの演奏の魅力がある。
本盤に収められたスケルツォについても、そうしたルービンシュタインならではの情感豊かでスケール雄大な名演だ。
ショパンのスケルツォの名演としては、近年ではポゴレリチによる楽曲の心眼に鋭く切り込んでいくような凄みのある超名演(1995年)があるが、本演奏もその奥行きの深さにおいていささかも引けを取っていない。
そして、ショパンのスケルツォという楽曲の魅力を安定した気持ちで味わうことができるという意味においては、本演奏の右に出る演奏は皆無である。
また、演奏全体を貫いている格調の高さは比類がなく、これぞまさしく大人(たいじん)の至芸と言えるだろう。
なお、本盤で何よりも素晴らしいのはXRCDによる極上の高音質だ。
本演奏は今から約50年以上も前のスタジオ録音であるが、とてもそうとは思えないような鮮明な高音質を誇っている。
既に発売されているSACDハイブリッド盤よりも、更に高音質と言えるのではないだろうか。
いずれにしても、ルービンシュタインによる至高の超名演を、XRCDによる極上の高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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