2014年01月12日
ブーレーズ&クリーヴランド管のベルリオーズ:幻想交響曲、トリスティア
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ブーレーズによるベルリオーズの幻想交響曲と言えば、「レリオ、または生への回帰」との組み合わせで話題となったロンドン交響楽団との旧盤(1967年)の衝撃が今でも忘れられない。
この当時のブーレーズは、ストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」(1969年)やバルトークの管弦楽のための協奏曲(1973年)など、前衛的な名演の数々を成し遂げていた時期であり、幻想交響曲においてもその斬新な解釈が聴き手の度肝を抜いたものであった。
しかしながら、そのような前衛的なブーレーズも、1990年代に入ってDGに様々な楽曲を録音するようになると、すっかりと好々爺となり、大人しい演奏が増えるようになってきた。
もっとも、スコアリーディングについてはより追求度が上がったとも言えるところであり、そのアプローチは更に精緻さを増したとさえ言えるところだ。
本盤に収められた幻想交響曲においても、ブーレーズによる精緻なアプローチは際立っている。
細部の一音に至るまで蔑ろにすることがない精緻さは、あたかもスコアをレントゲンで撮影するかのような精巧さであり、これまでの演奏では聴き取れなかったような音型さえ聴こえてくるほどである。
それでいて、単なるスコア至上主義には陥っておらず、どこをとっても情感の豊かさに満ち溢れているというのは、まさにブーレーズの円熟の至芸と言えるところである。
いずれにしても、本演奏はブーレーズの新境地を体現した素晴らしい名演と高く評価したい。
併録は、今回は「レリオ、または生への回帰」ではないが、「トリスティア」もブーレーズならではの非常に考え抜かれた精緻な名演に仕上がっている。
クリーヴランド管弦楽団の卓抜した技量も、このような精巧な演奏に大きく貢献しているのを忘れてはならない。
クリーヴランド管弦楽団合唱団も最高のパフォーマンスを示している。
録音は従来盤でも十分に満足できる音質であったが、今般のSHM−CD化によって、さらに音質が鮮明になるとともに音場が幅広くなった。
ブーレーズによる素晴らしい名演を、SHM−CDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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