2014年01月04日
マタチッチ&N響のワーグナー:管弦楽作品集
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1975年12月4日、NHKホールにおけるステレオ録音(ライヴ)。
これは素晴らしい演奏内容だ。
驚く程スケールの大きな演奏で、テンションの高い1970年代のN響とマタチッチの巨人的音楽作風の相乗で、超弩級の音楽に仕上がっている。
それにしても何と言う演奏だろう。
「マタチッチの」「N響の」という文脈ではなく、すべてのワーグナー録音のなかでも屈指の名盤と言える。
いずれも完全にオーケストラ・ピースとして演奏しており、その分物語性はないが完結した音楽となっており、完成度は高い。
揺るぎない骨格、透明感と品位、横の流れの自然さ、どこをとっても立派の一語に尽きる。
マタチッチ自身が語っているようにクナッパーツブッシュのワーグナーを下敷きにした演奏となっている。
響きは雄大で広がりがあり、ムラヴィンスキーの突き刺すような演奏とは違い包容力がある。
巨大な山脈が地の底から動いていくかのような何とも凄い演奏だ。
雪崩のようなフォルテもマタチッチの高い集中力を感じさせてくれる。
緻密でありながら大胆、流麗でありながら重厚、N響という先入観は不要。
ただひたすらに音楽に奉仕する指揮者と演奏者のみがここにある。
その音楽の圧倒的な力に、この録音当時、もしマタチッチがバイロイトで「リング」を上演していたら、その歴史はその後大きく変わっていたのでは?とさえ思う。
日本の楽団でこのレベルの音楽をやってみせたマタチッチは本当に凄い指揮者であった。
技術を云々している場合ではない。この演奏には圧倒的な音楽的説得力がある。
整った演奏は他にたくさんあるが、ここではライヴの良さが技術的なものを超えているように思われる。
マタチッチとこういう結びつきを持ったN響はとても幸運だったのだと思う。
音質はややぼやけているが、ホールでの演奏を思わせる自然なもので好ましい。
演奏・録音・選曲の面からマタチッチのファンのみならず、ワーグナーの入門としても薦めたい。
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