2014年01月05日
ヴァント&ベルリン・フィルのブルックナー:交響曲選集
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文字通り「最後の巨匠」であったギュンター・ヴァント最晩年の名声を決定付けた、1996年から2001年にかけて録音されたベルリン・フィルとの名盤、ブルックナーの交響曲集(第4番・第5番・第7番・第8番・第9番)を海外盤では初めてボックス・セット化したもの。
まさに最晩年を迎えた芸術家ヴァントの「完成期の音楽」というにふさわしい貫禄がある演奏で、しばしば表現される「白鳥の歌」に相当する得難い名品だと思う。
それではこれらのヴァントの録音の特徴は何かと言えば、一つは合奏音の融合度の高さにある。
緻密に計算されたバランスで、管弦楽の重厚さが常に適切に保たれていて、たいへん調性的で節度を重んじる表現を貫いている。
このことは、よく「天国的」と形容されるブルックナーの音楽の一面を、余すことなく表現しているだろう。
次の特徴は、悠々泰然たるテンポ設定であるが、これは「遅い」と言っているのではない。
むしろ、遅さを感じる部分はほとんどないと言っていいくらい、推進力が保たれている。
一般的なイメージとして、年齢とともに荘重な音楽効果を重視し、テンポを緩める傾向があるのだが、ヴァントは例外と言えよう。
むしろ引き締まった印象を与えるほどの、確信に満ちたテンポ設定で、それは、生涯を通じてブルックナーをやってきたヴァントならではの、決定的な解答と思えるような説得力に富んでいるものだ。
こうして奏でられるブルックナーは「天国的」であり、かつ「力強い内的均衡感」に満ちたものとなる。
ただ美しいだけではないところが、ヴァントの芸術の高い価値を示しているだろう。
個人的には、やや不均衡なところがあっても、朴訥としたダイナミズムを堪能させてくれたケルン放送響との全集も好きなのだが、一方でこれらのベルリン・フィルとの録音も、捨てがたい価値を持っていると思う。
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