2014年01月05日
ヴァント&北ドイツ放送響のブルックナー:交響曲第9番(1993年ライヴ)
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
現役盤だけでも30点は下らないこの作品の名演は少なくない。
これは北ドイツ放送響とのヴァントの演奏のなかでも出色で、真摯な音楽との取り組みから過不足のない叙情性と崇高な精神性を引き出している。
誇張表現をいっさい避けてブルックナーの本質美に到達する。
ヴァントは、厳格なイン・テンポではないのに、フレーズからフレーズへと滑らかに進行する類稀な音楽的時計の持ち主だ。
テクスチュアの面でも、各声部を過不足なく浮き上がらせている。
テンポ変化の滑らかさ、すべての小節に向けられた“線”的な書法造形への配慮、ドイツ語圏現代最高のオケ、という3拍子が揃ったヴァントの演奏は、やはり掛け替えのないものだろう。
いつ聴いても感動してしまう。
しかし、シューリヒトに比べて、ヴァントは激しさが不足しているように筆者には聴こえてしまう。
このように1993年ライヴ録音は極めて高水準の演奏で、改めて驚いてしまった。
第1楽章冒頭から気合いの入った音楽が聴ける。さすが手兵との録音である。
この旧盤と比べると、筆者は、なおのことベルリン・フィルとの出来が気になってしまう。
いかにヴァントが優れた指揮者であっても、ライヴで最高の演奏を常にし続けることはできないのだろう。
やはり人間の営みであるわけだから、やむを得まい。
もし、ベルリン・フィルとの演奏を、特に第1楽章を不満に思う人がいたら、この1993年のライヴ盤をお薦めしたい。
オケの出来を含め、ヴァントの傑作と呼べるCDである。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。