2022年08月16日
クナッパーツブッシュ&ベルリン・フィルのブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1944年ライヴ)
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クナは極端にレパートリーが偏っており、お気に入りの曲ばかりを繰り返し取り上げた。
ワーグナーとブルックナーが支柱であり、シュトラウス一家のワルツとブラームスにR.シュトラウスを加えるとディスコグラフィーがほぼ完成する。
ブルックナーの第4番は1944年バーデン・バーデンでの演奏記録だが、当時の放送録音としては音質が非常に良い。
戦時中の録音だが、当時最先端を誇ったドイツ帝国の磁気テープによる驚異的な音質で名演を堪能出来る。
クナによる第4交響曲の録音では、ウィーン・フィルを指揮したデッカ録音が最高の出来だが、このベルリン・フィル盤も遜色のない見事な演奏で、流麗な美しさは後年のデッカ録音にも匹敵する。
そして当盤の尽きることのない最大の魅力はオーケストラにある。
クナは、フルトヴェングラー時代のベルリン・フィルから劇的で動的な機能美を存分に引き出しており、音楽が弛緩するようなことは一切ない。
戦時中のベルリン・フィルが奏でる滴るような音色が素晴らしい当盤は、表現こそ中庸だが、哀感漂う響きが心憎い名演である。
特にベルリン・フィルの暗い情熱を秘めた弦楽合奏の神秘的な美しさは実に素晴らしい。
ベルリン・フィルは折しもフルトヴェングラー時代の荘重で黒光りする響きを放っており、時に見せる思索的な音楽は、ブルックナーの交響曲たるものがドイツ精神を離れては理解出来ないことをそれとなく示してくれる。
クナの常で改訂版を使用しての演奏である。
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