2014年01月27日

リパッティのグリーグ&シューマン:ピアノ協奏曲[SACD]


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33歳という若き日に不治の病でこの世を去らなければならなかった悲劇のピアニストであるディヌ・リパッティであるが、本盤に収められた演奏は、死の数年前にスタジオ録音されたグリーグとシューマンのピアノ協奏曲の演奏である。

リパッティの録音自体が数少ないだけに貴重な存在であるが、いずれもリパッティならではの素晴らしい名演と高く評価したい。

両演奏ともに、これまでリマスタリングなどが施されてきたが、1940年代後半のモノラル録音だけに、音質向上効果は必ずしも万全とは言い難かったところだ。

ところが、今般、SACD盤が登場するに及んで、もちろん最新録音のようにはいかないが、これまでの既発CDとは次元が異なる音質の向上が図られたことは、演奏自体が優れているだけに実に意義が大きいことと思われる。

音質が劣悪であるが故に鑑賞を避けてきた音楽ファンも存在していたとも考えられるだけに、今般のSACD盤を機会に、本演奏にできるだけ多くの方に親しんでいただき、悲劇のピアニストであるリパッティの真の実力が再びクローズアップされることを願ってやまないところだ。

両曲の演奏ともに大変優れているが、特に素晴らしいのはシューマンのピアノ協奏曲である。

同曲の演奏は、いささか俗な言い方になるが、同曲に込められたファンタジーの飛翔のようなものをセンス豊かに表現し得ないと、ひどく理屈っぽいつまらない演奏に陥ってしまう危険性がある。

ところが、リパッティにはそのような心配は全くご無用。

リパッティによる本演奏には、シューマンのピアノ曲演奏に必要不可欠のファンタジーの飛翔のようなものや、加えて豊かな詩情、そしてこのピアニスト一流の独特の洒落た味わいが満ち溢れている。

いや、それだけではない。

同曲の核心に鋭く切り込んでいくような彫りの深さ、そして、何よりも忍び寄る死に必死で贖おうとする緊迫感や気迫が滲み出ているとさえ言える。

いや、もしかしたら、若くして死地に赴かざるを得なかった薄幸のピアニストであるリパッティの悲劇が我々聴き手の念頭にあるからこそ、余計にリパッティによる当該演奏を聴くとそのように感じさせられるのかもしれない。

いずれにしても、本演奏は、シューマンのピアノ協奏曲の演奏という次元を超えた底知れぬ深みを湛えている。

そして、本演奏にかける命がけの渾身の情熱の凄さは、我々聴き手の肺腑を打つのに十分な圧巻の迫力を誇っている。

こうしたリパッティの凄みのあるピアノ演奏を下支えしているのが、若き日のカラヤン率いるフィルハーモニア管弦楽団であるが、これまた実に優れた演奏を聴かせてくれている。

この当時のカラヤンは、後年の演奏とは異なり、溌剌とした躍動感溢れる指揮の中にも、自我を抑制し、楽曲そのものを語らせようと言う姿勢が見られるところであり、リパッティのピアノ演奏を際立たせる意味においても、まさに理想的な演奏を展開していると評価したい。

他方、グリーグのピアノ協奏曲については、さすがにシューマンのピアノ協奏曲の演奏ほどの深みを感じることは困難であるが、洒落たセンスに満ち溢れたピアノ演奏ぶりは健在であり、ガリエラ指揮のフィルハーモニア管弦楽団の演奏ともども、素晴らしい名演奏を展開していると評価したい。

音質は、前述のとおり、必ずしも最新録音のようにはいかないが、これまでの既発CDとは次元が異なる、ピアノの凄みが感じられる復刻によって、見事な音質に生まれ変わった。

とりわけ、リパッティのピアノタッチが1940年代後半の録音としては、かなり鮮明に再現されるのは殆ど驚異的であり、あらためてSACD盤の潜在能力の高さを思い知った次第である。

いずれにしても、リパッティによる素晴らしい名演を、SACD盤による高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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