2014年02月01日
セル&クリーヴランド管のドヴォルザーク:後期3大交響曲集、他
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セル&クリーヴランド管弦楽団によるドヴォルザークの楽曲の演奏はいずれも素晴らしい。
全盛時代のセル&クリーヴランド管弦楽団は、各楽器セクションが一つの楽器のように聴こえるような一糸乱れぬ鉄壁のアンサンブルを誇ったことから、「セルの楽器」とも称された完全無欠の演奏を展開していたが、1960年代半ば頃までの演奏は、そうした完全無欠の演奏が、ある種の技量に偏ったメカニックな冷たさを感じさせたのも否めない事実である。
そのようなセルも1960年代後半の最晩年に差し掛かると、クリーヴランド管弦楽団の各奏者にも一定の自由を与え、芸風により柔軟性が垣間見られるようになり、円熟の味わい深い名演奏を成し遂げるようになった。
もっとも、ドヴォルザークやスメタナなどのチェコ音楽については、何故か1960年代半ば以前の演奏においても、そうした晩年の演奏にも比肩し得るような情感豊かな味わい深い演奏を行っていており、これは、ドヴォルザークやスメタナなどのチェコ音楽には、ハンガリーの隣国の音楽ということもあり、セル自身が深い愛着と理解を有していた証左なのかもしれない。
本盤に収められたドヴォルザークの後期交響曲集(第7〜第9番)やドヴォルザーク及びスメタナの管弦楽曲(弦楽四重奏曲第1番のセルによるオーケストラバージョンを含む)の各演奏においてもそれは健在であり、表面上は鉄壁のアンサンブルを駆使した完全無欠の演奏でありつつも、各フレーズの端々には、前述のようなチェコ音楽への深い愛着と理解に根差した豊かな情感が込められていて、いずれも味わい深い素晴らしい名演に仕上がっていると高く評価したい。
もっとも、ドヴォルザークの交響曲第8番については、1970年にEMIにスタジオ録音した同曲演奏史上でもトップの座を争う至高の超名演が存在しており、最晩年の演奏ならではの味わい深さと言った点において本演奏はいささか分が悪いが、それでも本盤に収められた演奏を名演と評価するのにいささかの躊躇をするものではない。
音質は1949〜1963年のスタジオ録音であり、従来盤では今一つの音質であったが、セルによるドヴォルザークやスメタナの楽曲の演奏はいずれ劣らぬ名演揃いであり、今後はすべての楽曲について、最低でもBlu-spec-CD化、そして可能であればSACD化を図るなど、更なる高音質化を大いに望んでおきたい。
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