2014年02月03日
パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィルのシューマン:交響曲第2番&序曲集
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パーヴォ・ヤルヴィの勢いは今や誰もとどめることができない。
彼は、シンシナティ交響楽団、フランクフルト放送交響楽団、ドイツ・カンマーフィル、パリ管弦楽団を手中におさめており、これらのオーケストラを作曲家毎に振り分けるという何とも贅沢なことをやってのけている。
そして、そのレパートリーの幅広さたるや、父親であるネーメ・ヤルヴィも顔負けであり、今や、人気面において指揮界のリーダー格とされるラトル、ゲルギエフ、ヤンソンスの3強の一角に喰い込むだけの華々しい活躍をしている。
パーヴォ・ヤルヴィがドイツ・カンマーフィルを起用する際には、当然のことながら、いわゆるピリオド奏法に適した楽曲を演奏しており、既に完成させたベートーヴェンの交響曲全集やピアノ協奏曲全集に次いで、現在では、シューマンの交響曲全集の録音に取り組んでいるところだ。
第1番及び第3番が既発売であり、それはピリオド奏法を十分に生かした斬新とも言えるアプローチが特徴の演奏であり、パーヴォ・ヤルヴィの底知れぬ才能と現代的な感覚、センスの鋭さが光る素晴らしい名演であった。
本盤は、その続編として久しぶりに登場したものであるが、収録曲は交響曲第2番を軸として、「マンフレッド」序曲などの有名な序曲である。いずれも、第1番&第3番に勝るとも劣らぬ素晴らしい名演であると高く評価したい。
本演奏でも、ピリオド奏法は相変わらずであるが、それを十全に活かし切ったパーヴォ・ヤルヴィの個性的なアプローチが実に芸術的とも言える光彩を放っており、これまで同曲を様々な指揮者による演奏で聴いてきたコアはクラシック音楽ファンにも、新鮮さを感じさせる演奏に仕上がっている。
ピリオド奏法やピリオド楽器を使用した演奏の中には、学究的には見るべきものがあったとしても、芸術性をどこかに置き忘れたような軽妙浮薄な演奏も散見されるが、パーヴォ・ヤルヴィの個性的なアプローチには、常に芸術性に裏打ちがなされており、そうした軽妙浮薄な演奏とは一線を画しているとさえ言えるだろう。
思い切ったテンポの振幅、アッチェレランドの駆使、ダイナミックレンジの極端な取り方など、その仕掛けの多さは尋常ならざるものがあるが、これだけ同曲の魅力を堪能させてくれれば文句は言えまい。
いずれにしても、本盤の各曲の演奏は、近年のパーヴォ・ヤルヴィの充実ぶりを如実に反映させた素晴らしい名演であり、加えて、いわゆるピリオド奏法による演奏としては、最高峰に掲げてもあながち言い過ぎとは言えない圧倒的な名演と高く評価したい。
そして、残る第4番の録音を期待する聴き手は筆者だけではあるまい。
音質は、これまた素晴らしい。
特に、最近では珍しくなったマルチチャンネル付のSACDは、臨場感溢れるものであり、各楽器セクションが明瞭に分離して聴こえることによって、ピリオド奏法の面白さが倍加するという効用もあると言えるところだ。
いずれにしても、パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィルによる素晴らしい名演をマルチチャンネル付のSACD盤で味わうことができるのを大いに喜びたい。
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