2014年02月07日

インバル&フランクフルト放送響のショスタコーヴィチ:交響曲第5番


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インバルは、現代最高のマーラー指揮者としての称号をほしいままにしているが、マーラーに私淑していたとされるショスタコーヴィチについても、ウィーン交響楽団とともにスタジオ録音による交響曲全集を完成させるなど、自らのレパートリーの軸としているとも言える。

とりわけ、ショスタコーヴィチの交響曲の中でも最もポピュラリティを獲得しているとされる第5番については、3度にわたって録音を行っている。

最初の録音は本盤に収められたフランクフルト放送交響楽団とのスタジオ録音(1988年)、次いで、前述の全集の一環としてスタジオ録音されたウィーン交響楽団との演奏(1990年)、そして、先般発売されて大きな話題となった東京都交響楽団とのライヴ録音(2011年)が存在している。

このうち、直近の2011年のライヴ録音については、近年のインバルの円熟ぶりが窺える圧倒的な名演であり、3種ある同曲の録音の中でも頭一つ抜けた存在であると言えるところだ。

したがって、2011年のライヴ録音を比較の対象とすると、他の演奏が不利になるのは否めない事実であるが、当該ライヴ録音を度外視すれば、本盤に収められた演奏は、十分に名演の名に値するのではないかと考えている。

少なくとも、オーケストラの優秀さなどを総合的に勘案すれば、2年後のウィーン交響楽団との演奏を遥かに凌駕していると言えるところであり、当時のインバルの演奏の特色を窺い知ることが可能な名演と評価してもいいのではないかと考えるところだ。

当時、同時並行的にスタジオ録音を行っていたマーラーの交響曲全集にも共通するが、当時のインバルの楽曲の演奏に際してのアプローチは、一聴すると冷静で自己抑制的なアプローチであるとも言える。

しかしながら、インバルは、とりわけ近年の実演、例えば、前述の2011年のライヴ録音においても聴くことが可能であるが、元来は灼熱のように燃え上がるような情熱を抱いた熱い演奏を繰り広げる指揮者なのである。

ただ、本演奏のようなスタジオ録音を行うに際しては、極力自我を抑制し、可能な限り整然とした完全無欠の演奏を成し遂げるべく全力を傾注している。

ショスタコーヴィチがスコアに記した様々な指示を可能な限り音化し、作品本来の複雑な情感や構造を明瞭に、そして整然と表現した完全無欠の演奏、これが本演奏におけるインバルの基本的なアプローチと言えるであろう。

しかしながら、かかる完全無欠な演奏を目指す過程において、どうしても抑制し切れない自我や熱き情熱の迸りが随所から滲み出している。

それが本演奏が四角四面に陥ったり、血も涙もない演奏に陥ったりすることを回避し、完全無欠な演奏でありつつも、豊かな情感や味わい深さをいささかも失うことなく、これを持って本盤におけるインバルによる演奏を感動的なものにしているのである。

もう少し踏み外しがあってもいいような気もしないではないが、それは2011年のライヴ録音の方に委ねればいいのであり、演奏の安定性、普遍性という意味においては、実に優れた名演と高く評価したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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