2014年02月09日
アーベントロート/ブラームス:交響曲全集
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「第2」、「第3」、「第4」はスタジオ録音で、その表現はさすがにアーベントロートらしく濃厚熾烈なものだが、本全集中唯一のライヴ録音「第1」こそ白眉だ。
録音は1956年とはいえ生々しいライヴの雰囲気を伝えるものであり、十二分に鑑賞に堪え得る。
とにかく巨人アーベントロートの凄まじい気迫、濃厚過ぎるような表現意志、壮絶でドラマティックな鬼気迫る演奏だ。
孤高の厳しさと伸びやかさを兼ね備えているのが興味深く、ブラームス・ファンのみならず、ドイツ音楽の信奉者は何を措いても聴くべし。
「第2」の第1楽章は何とも遅いテンポで内面のおりがたまったような表現だが、粘らず響きが明快であるため、他の指揮者とは違った独自性が生まれている。
アーベントロートはやはり一種独特の風格と個性を持った指揮者だが、終楽章になると一転して急速なテンポをとるので、簡単に演奏様式を決めつけるわけにはいかない。
一筋縄ではいかない器量が示された演奏と言える。
「第3」は自由なアゴーギクを駆使した、変幻自在とでも言えるような表現だ。
オーケストラはそれを自分自身の発想のように見事なアンサンブルで演奏しており、ここにはアーベントロートとオーケストラの緊密な関係が示されている。
また表現のパターンは一定でなく、終楽章は精気溌剌として見事に締めくくっている。
アーベントロート流の様式化された解釈は、「第4」のように古典的書法の曲では絶大な効果を発揮する。
第2楽章の第2主題の絶妙なレガートや、終楽章のパッサカリアの性格的な表現では、アーベントロートの特色と音楽性がよく味わえる。
ブラームス在世中に生まれたこの指揮者は、ブラームスの音楽が書かれた時代を肌で知っていた。
つまりこれらの演奏は今や時代の証言と言えるだろう。
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