2014年02月12日

アバド&モーツァルト管弦楽団のバッハ:ブランデンブルク協奏曲


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最近では、ベートーヴェンを通り越してロマン派の作曲家にまで広がりつつある古楽器奏法やピリオド楽器による演奏であるが、バッハについては、そうした演奏様式が既に主流となっていることについては論を待たないであろう。

しかしながら、かかる演奏様式が芸術的であるかどうかは別問題であり、聴き手を驚かすような演奏はあっても、芸術的な感動を与えてくれる演奏というのはまだまだ少数派なのではないだろうか。

ブランデンブルク協奏曲は、かつてはフルトヴェングラーやクレンペラー、カラヤンといった大指揮者が、それこそ大編成のオーケストラを使って、重厚な演奏を繰り広げていた。

古楽器奏法やピリオド楽器による演奏様式が主流となった今日において、これらの重厚な演奏を聴くと、とある影響力のある評論家などは大時代的な演奏などと酷評しておられるが、昨今の浅薄な演奏の数々に接している耳からすると、故郷に帰った時のような安らいだ気持ちになり、深い感動を覚えることが多い。

最近、SACD&SHM−CD化されて発売されたリヒターの演奏(現時点では第1〜3番のみしか発売されていない)も立派で崇高な名演であり、未だもって評価は高い。

こうしたことからすれば、バッハの演奏様式についても、現代楽器を活用した従来型の演奏を顧みるべき時期に来ているのかもしれない。

そうした機運の更なる起爆剤になりそうなCDこそが、本盤に収められたアバドによる素晴らしい名演である。

アバドの下で演奏している各独奏者や、モーツァルト管弦楽団のメンバーは、いずれも前途洋々たる将来性がある若き音楽家たちだ。

そうした若き音楽家たちが、現代楽器を使用して、実に楽しげに演奏を行っており、そうした音楽家たちの明るく楽しげな気持ちが音楽を通じて聴き手に伝わってくるのが素晴らしい。

本演奏には、フルトヴェングラーなどによる演奏が有していた重厚さはないが、他方、古楽器奏法やピリオド楽器による演奏が陥りがちな軽妙浮薄な演奏にも堕しておらず、いい意味での剛柔バランスのとれた名演に仕上がっている点を高く評価したい。

アバドは、大病を克服した後は、音楽に深みと鋭さが加わり、皮肉にもベルリン・フィルの芸術監督を退いた後は、大指揮者という名に相応しい数々の名演を成し遂げているが、本演奏では、若くて将来性のある音楽家たちをあたたかく包み込むような滋味溢れる指揮ぶりが見事である。

ブランデンブルク協奏曲を番号順ではなく、ランダムに並べた配列もなかなかにユニークであると評価し得る。

録音も鮮明であり、本名演を素晴らしい音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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