2022年08月02日
ヤナーチェクに私淑し、管弦楽曲やオペラなど、数多くの録音を行ってきた自他ともに認める権威マッケラス、最高傑作の一つ、グラゴル・ミサ(原典版)
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村上春樹氏の小説によってさらに脚光を浴びることになったヤナーチェク。
巷間、チェコの作曲家としては、第1にスメタナ、第2にドヴォルザーク、第3にヤナーチェク、そして第4にマルチヌーとされているところだ。
しかしながら、楽曲の質の高さ、他の作曲家への影響力の大きさなどを総合的に勘案すれば、ヤナーチェクはチェコの第3の作曲家などではなく、むしろスメタナやドヴォルザークを凌駕する存在ではないだろうか。
モラヴィアの民謡を自己の作品の中に高度に昇華させて採り入れていったという巧みな作曲技法は、現代のベートーヴェンとも称されるバルトークにも比肩し得るものであるし、「利口な女狐の物語」や「死者の家から」などと言った偉大なオペラの傑作は、20世紀最大のオペラ作曲家とも評されるベンジャミン・ブリテンにも匹敵すると言えるところだ。
そして、ヤナーチェクの最高傑作をどれにするのかは議論を呼ぶところであると考えられるところであるが、少なくとも、本盤に収められたグラゴル・ミサは、5本の指に入る傑作であると言うのは論を待たないところである。
同曲には、オペラにおいて数々の名作を作曲してきたヤナーチェクだけに、独唱や合唱を巧みに盛り込んだ作曲技法の巧さは圧倒的であるし、モラヴィア民謡を巧みに昇華させつつ、華麗な管弦楽法を駆使した楽想の美しさ、見事さは、紛れもなくヤナーチェクによる最高傑作の一つと評してもいささかも過言ではあるまい。
マッケラスは、こうした偉大な作曲家、ヤナーチェクに私淑し、管弦楽曲やオペラなど、数多くの録音を行っている、自他ともに認めるヤナーチェクの権威であり、ウィーン・フィルやチェコ・フィルとの数多くの演奏はいずれも極めて優れたものだ。
本盤に収められたチェコ・フィルや、優れた独唱者、そしてプラハ・フィルハーモニー合唱団を駆使した同曲の演奏は、ヤナーチェクの権威であるマッケラスならではの同曲最高の名演と高く評価したい。
スケールの雄大さ、そして独唱者や合唱団のドライブの巧みさ、情感の豊かさのいずれをとっても非の付けどころのない高水準の演奏であり、筆者としては、本演奏こそは、同曲演奏の理想像の具現化と評価するのにいささかも躊躇するものではない。
モラヴィア民謡を基調とした、むせび泣くような哀感のこもった音楽であり、血のなせる技というほかないオケと合唱の抜群の反応もさることながら、映像で初めて明かされるマッケラスの熱い指揮姿を通して、この演奏に参加したメンバー全員グラゴル・ミサを愛して止まないことが肌で伝わってくる。
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