2014年02月16日
アルカント・カルテットのバルトーク:弦楽四重奏曲第5番・6番
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これは驚きの1枚である。
バルトークの弦楽四重奏曲は傑作ではあるが、決して耳当たりのいい曲ではなく、ポピュラリティを獲得をしているわけではないため、各弦楽四重奏団が採り上げる際には、余程の自信がないとCD化に逡巡する例が散見される。
それだけに、この新しいアルカント・カルテットが、バルトークの、しかも、その中でも傑作であり、より深みのある「第5」と「第6」を録音したという点に、並々ならぬ自信と決意があらわれている。
そして、その演奏内容は、それに恥じぬ超名演に仕上がっている。
「第5」は、冒頭から、アグレッシブで強烈な迫力に圧倒される。
第1楽章冒頭の激しいリズム、第2楽章のチェロの極端に低いどこか無機質な響き、その後現われる柔らかな旋律、第3楽章の複雑なリズムの絡み合いは名手たちの真骨頂で、そして第4、第5楽章でも、エッジの効いた演奏に圧倒される。
各奏者の思い切った凄みさえ感じさせるアプローチが、バルトークの音楽にこれ以上は望めないような生命力を与えている。
「第6」も、悲劇的な抒情と、バルトーク特有の諧謔的でシニカルな表情のバランスが実にすばらしく、それでいて、「第5」で垣間見せたようなアグレッシブさにもいささかの不足はない。
タベア・ツィンマーマンによる冒頭のヴィオラ・ソロの深みのある歌に、一気に晩年のバルトークの世界に引き込まれる。
第3楽章の四分音の掛け合いも、絶妙なことこの上ない。
終楽章、静寂へと帰ってゆく終結部は、死者の魂が天へと静かに昇ってゆくような神聖さに満ちている。
アルカント・カルテットの将来性を大いに感じさせるとともに、この団体による今後のバルトークの弦楽四重奏曲全集の完成を大いに期待させる1枚と言える。
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