2014年02月24日
エマールのドビュッシー:前奏曲集第1巻&第2巻
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これは素晴らしい名演だ。
昨年は、リスト・イヤーを代表する、ピアノ・ソナタロ短調を軸とした圧倒的なリスト・アルバムを世に出して、健在ぶりをアピールしたエマールであるが、本盤に収められた演奏は、エマールが最も得意とするレパートリーとも言えるドビュッシーの前奏曲集であり、そもそも演奏が悪かろうはずがない。
既に、エマールはドビュッシーのピアノ曲を2002年に映像及び練習曲を録音しており、2005年の来日時には、全曲ではなかったものの前奏曲集からいくつかの楽曲を抜粋して、名演の数々を披露してくれたことは現在でも記憶に新しいところだ。
いずれにしても、本盤に収められたドビュッシーの前奏曲集は、エマールにとって、いわゆる録音としては、ドビュッシーのピアノ曲集を収めた2枚目のアルバムということになる。
得意の楽曲だけに、まさに満を持して世に問うたアルバムということができるだろう。
それにしても、何という見事な演奏であろうか。
各旋律の尋常ならざる心の込め方には出色のものがあり、加えて、どこをとってもフランス風のエスプリ漂う独特のセンスに満たされており、これぞフランス音楽の粋とも言うべき抗し難い魅力に満ち溢れている。
個性的という意味では申し分がないが、その解釈の様相としては古色蒼然と言ったものからは程遠く、常に現代的なセンスに満たされているが、決して恣意的なアプローチに陥るということはなく、あざとさをいささかも感じさせないのが見事である。
そうした抜群のセンスを維持した中での、思い切った強弱の変化やテンポの振幅を駆使した各楽曲の描き分けの巧みさも心憎いばかりであり、おそらくは現代のあらゆるピアニストによるドビュッシーのピアノ曲の演奏の中でも最高峰の一つに掲げるべき至高の高みに達している。
また、卓越した技巧と堅固な造型美は、エマールのフランス人離れした優れた美質とも言えるところであるが、前述のようなフランス風の洒落たセンスを聴かせるのにとどまらず、楽曲全体の造型美を重視した骨太の音楽づくりにおいてもいささかも不足はないところであり、これぞドビュッシーのピアノ曲演奏の理想像の具現化と評しても過言ではあるまい。
加えて、本盤には前奏曲集の第1巻と第2巻の全曲が収められているのも聴き手にとっては大変喜ばしいものであり、前述のような演奏の素晴らしさも相俟って、筆者としては、現代のピアニストによるドビュッシーの前奏曲集の録音の中では、最も優れた至高の超名演と評価したい。
音質も2012年のスタジオ録音であり、加えてピアノ曲との相性抜群のSHM−CDだけに、十分に満足できるものと言える。
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