2014年02月24日

カラヤンのヴェルディ:レクイエム(1972年盤)[SACD]


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ヴェルディのレクイエムは、いわゆる3大レクイエムの中でも最も規模が大きく劇的な要素を持った傑作である。

モーツァルトのレクイエムは、モーツァルト自身が完成させることが出来ず、他の者による加筆や編曲などがなされている。

フォーレのレクイエムは、清澄な美しさで満たされた素晴らしい名作であるが、必ずしもスケール雄大な作品とは言い難い。

その意味では、ヴェルディのレクイエムを、あらゆる作曲家のレクイエム中の最高傑作と評する識者が多いというのも十分に納得できるところだ(ブラームスのドイツ・レクイエムは、別テキストによるものであり、同列の比較から除外されていることに留意する必要がある)。

ヴェルディは、いわゆるオペラ作曲家であり、同曲も晩年の作品ということもあって、ここにはヴェルディのオペラ的な作曲技法が駆使されている。

それだけに、ヴェルディの数々のオペラを得意のレパートリーとしてきたカラヤンにとって、同曲はまさに十八番とも言える存在であったことはよく理解できるところである。

したがって、カラヤンによる同曲の録音は、本演奏に加えて、1984年のウィーン・フィルとのスタジオ録音やザルツブルク音楽祭でのライヴ録音(1958年)、そしてDVD作品など複数存在している。

1979年の来日時にもスケール雄大な名演を繰り広げたことは今や伝説となりつつあるが、カラヤンが遺した同曲の最高の演奏は、衆目の一致するところ、本盤に収められた1972年のスタジオ録音ということになるのではないだろうか。

1972年と言えば、カラヤン&ベルリン・フィルの全盛時代であり、カラヤンにも健康不安が殆どなく、体力・気力ともに充実していた時代だ。

カラヤンが指揮するベルリン・フィルも名うてのスタープレイヤーを数多く擁する、世界最高のオーケストラを自認するベルリン・フィルとしても最高の時代であり、本演奏においても、うなりをあげるような低弦の迫力、ブリリアントなブラスセクション、雷鳴のように轟わたるティンパニなど、鉄壁のアンサンブルの下、他のオーケストラの追随を許さないような圧倒的な名演奏を展開している。

とりわけ、「怒りの日」や「くすしきラッパの音」、「みいつの大王」における強靭な響きは、途轍もない迫力を誇っている。

他方、弱音部における繊細な表現も見事であり、ダイナミックレンジの幅広さは他の演奏の追随を許さないものがある。

ウィーン楽友協会合唱団は、他の指揮者が指揮するといかにも素人と言うような凡庸な合唱に終始するきらいがあるが、終身の芸術監督であったカラヤンが指揮した本演奏においては、カラヤンへの畏敬の念もあったせいか、持ちうる実力以上の圧倒的な名唱を披露している。

カラヤンの旗本とも言うべきソプラノのミレッラ・フレーニ、そしてメゾ・ソプラノのクリスタ・ルートヴィヒの歌唱はいつもながら見事であり、テノールのカルロ・コッスッタ、バスのニコライ・ギャウロフによる圧倒的な歌唱ともども、最高のパフォーマンスを発揮している。

いずれにしても、本盤の演奏は、カラヤンによる数あるヴェルディのレクイエムの演奏の中で最高の名演であるとともに、ベルリン・フィルの演奏の凄さ、歌手陣や合唱の素晴らしさを考慮に入れると、同曲の様々な名演の中でもトップの座を争う至高の超名演と高く評価したい。

音質は、1972年の録音ということもあって従来CD盤でも比較的良好な音質であった。

しかしながら、今般、ついに待望のシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化がなされるに及んで大変驚いた。

ベルリン・イエス・キリスト教会の豊かな残響を生かした音質の鮮明さ、合唱や独唱、オーケストラ演奏が見事に分離して聴こえる明瞭さ、音圧の凄さ、音場の拡がりのどれをとっても一級品の仕上がりであり、従来CD盤では2枚組であったものが1枚に収まるという容量の大きさなど、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第だ。

いずれにしても、カラヤン&ベルリン・フィルほかによる至高の超名演を、現在望みうる最高の高音質であるシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤で味わうことができるのを大いに喜びたい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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