2014年02月24日

ヴァント&北ドイツ放送響のブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」/シューベルト:交響曲第5番[2001年ライヴ] [SACD]


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1990年代に入って、余人を寄せ付けないような神々しいまでの崇高な名演の数々を成し遂げた巨匠ヴァントによる本拠地、ハンブルク・ムジーク・ハレでの最後のライヴ録音である。

とは言っても、ヴァントの場合は、数回に渡って行われる演奏会の各演奏を編集した上で、ベストの演奏を作り上げていくという過程を経て、初めて自らの録音を販売するという慎重さを旨としていたことから、厳密に言うと、本拠地での最後の演奏会における演奏そのものと言えないのかもしれない。

また、その数日後にも、同じプログラムでヴッパータールやフランクフルトで演奏会を行っているということもある。

そうした点を考慮に入れたとしても、巨匠の人生の最後の一連の演奏会の記録とも言えるところであり、本演奏には、巨匠が最晩年に至って漸く到達し得た至高・至純の境地が示されていると言っても過言ではあるまい。

冒頭のシューベルトの交響曲第5番も、冒頭からして清澄さが漂っており、この世のものとは思えないような美しさに満ち溢れている。

もちろん、ヴァントの演奏に特有の厳格なスコアリーディングに基づく堅固な造型美の残滓を聴くことは可能であるものの、むしろ緻密な演奏の中にも即興的とさえ言うべき伸びやかさが支配している。

加えて、各旋律の端々には枯淡の境地とも言うべき情感が込められており、その独特の情感豊かさには抗し難い魅力に満ち溢れている。

ヴァントにとって、同曲の演奏は、ケルン放送交響楽団との全集以来の録音(1984年)であると思われるが、演奏の芸格の違いは歴然としており、最晩年のヴァントが成し遂げた至高の超名演と高く評価したい。

ブルックナーの交響曲第4番は、ヴァントが何度も録音を繰り返してきた十八番とも言うべき楽曲である。

ヴァントによるブルックナーの唯一の交響曲全集を構成するケルン放送交響楽団とのスタジオ録音(1976年)、北ドイツ放送交響楽団とのライヴ録音(1990年)、ベルリン・フィルとのライヴ録音(1998年)、ミュンヘン・フィルとのライヴ録音(2001年)の4種が既に存在し、本盤の演奏は5度目の録音ということになる。

演奏の完成度という意味においては、ベルリン・フィルやミュンヘン・フィルとの演奏を掲げるべきであるが、演奏の持つ味わい深さにおいては、本盤の演奏を随一の超名演と掲げたい。

シューベルトの交響曲第5番と同様に、本演奏においても、厳格なスコアリーディングに基づく緻密さや堅固な造型美は健在であるが、テンポをよりゆったりとしたものとするとともに、随所に伸びやかさや独特の豊かな情感が込められており、まさにヴァントが人生の最後に至って漸く到達し得た崇高にして清澄な境地があらわれていると言っても過言ではあるまい。

いずれにしても、筆者としては、本演奏こそはヴァントによる同曲の最高の名演であるとともに、ベーム&ウィーン・フィルによる演奏(1973年)や朝比奈&大阪フィルによる演奏(2001年)と並んで3強の一角を占める至高の超名演と高く評価したい。

音質は、従来CD盤が初発売された後、リマスタリングが一度もなされていないものの、十分に満足できるものであった。

しかしながら、今般、ついにSACD化が行われることによって大変驚いた。

従来CD盤とは次元が異なる見違えるような鮮明な音質に生まれ変わっており、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第である。

いずれにしても、ヴァントによる至高の超名演を、SACDによる極上の高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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