2014年02月27日
C・デイヴィス&ロンドン響のシベリウス:交響曲第1番&第4番
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本盤に収められたシベリウスの交響曲第1番及び第4番は、コリン・デイヴィスによる3度目のシベリウスの交響曲全集の完結編である。
それだけに、本盤の演奏にかける意気込みには並々ならないものがあったと想定できるところであり、名演揃いの3度目の全集の中でも、本盤の演奏は飛びぬけて素晴らしい名演に仕上がっていると高く評価したい。
デイヴィスは、シベリウスを得意中の得意としており、フィンランドの大指揮者であるベルグルンドを除けば、シベリウスの交響曲全集を3度にわたって録音した唯一の指揮者である。
これはデイヴィスのシベリウスへの深い傾倒と愛着の証左と言っても過言ではあるまい。
デイヴィスによる3つの全集のうち、1970年代にボストン交響楽団を演奏して成し遂げた最初の全集については現在でも依然として評価が高いが、音質面を含めて総合的に鑑みると、最新の3度目のロンドン交響楽団とのライヴ録音による全集(2002〜2008年)を第一に掲げるべきであると考えるところだ。
デイヴィスによるシベリウスの交響曲へのアプローチは、特別な個性的解釈で聴き手を驚かしたり、奇を衒ったりすることはいささかもなく、基本的には曲想を精緻に描き出すという純音楽的で自然体のものと言える。
もっとも、曲想を精緻に描き出すという純音楽的なアプローチとは言っても、スコアに記された音符の表層だけをなぞっただけの薄味な演奏をおこなっているわけではない。
一聴すると淡々と流れている各旋律の端々には、独特の細やかなニュアンスと豊かな情感が込められているところであり、シベリウスの楽曲に特有の北欧の大自然を彷彿とさせるような繊細な抒情美の描出にもいささかの不足はない。
そして、本演奏には、80歳を超える老巨匠による演奏とは思えないような強靭な迫力や畳み掛けていくような気迫などが漲っており、前述のように、全集完結編となる本演奏にかける凄まじいまでの意気込みを大いに感じることが可能だ。
ロンドン交響楽団も、デイヴィスの指揮の下、持ち得る実力を十二分に発揮した名演奏を展開しており、弦楽セクションや管楽器セクション、そしてティンパニなど、あたかも北欧のオーケストラのような透明感溢れる美しい音色を醸し出しているのが素晴らしい。
そして、本盤で素晴らしいのは、マルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音である。
シベリウスの交響曲のような透明感溢れる抒情的な音楽には、本盤のようなマルチチャンネル付きのSACDは抜群の効力を発揮するところであり、デイヴィスによる至高の名演を臨場感溢れるマルチチャンネル付きのSACD盤で味わうことができるのを大いに喜びたい。
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