2014年03月02日
スヴェトラーノフ&スウェーデン放送響のサン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付」、ルーセンベリ:組曲「街のオルフェウス」
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凄い演奏だ。
スヴェトラーノフは、サン・サーンスの交響曲第3番を得意としており、かつての手兵であったソヴィエト国立交響楽団(現ロシア国立交響楽団)とともに1982年にスタジオ録音を行っている。
当該演奏も途轍もない豪演であったが、本盤の演奏はそれから16年後のものであり、さらに輪をかけて凄まじいまでの巨大な演奏と言うことができるだろう。
大抵の演奏の場合は、約35分程度を要する同曲の演奏に、スヴェトラーノフは40分を超えるというスローテンポで演奏しており、まさに尋常ならざるゆったりとしたテンポで演奏を行っている。
オルガンを含む豪壮華麗なオーケストレーションで知られる同曲であるが、スヴェトラーノフは各楽器セクションに力の及ぶ限り強奏させており、その重厚にして強靭な響きは、あたかもロシアの広大な悠久の大地を思わせるほどであり、同曲がフランス音楽であることを忘れさせてしまうほどだ。
とりわけ、楽曲の終結部におけるド迫力は、再生装置が破壊されてしまうかと思うほどの凄まじいもので、おそらくは数ある同曲の演奏の中でも、最も強大なスケールを有した豪演であると評しても過言ではあるまい。
前述のように、本演奏はフランス音楽というよりはロシア音楽を思わせるような強靭さ、強大さを兼ね備えており、同曲にフランス風のエスプリや洒落た味わいを求める聴き手からすれば、疑問符がつく演奏と言えるのかもしれない。
しかしながら、聴き終えた後の充足感においては、同曲の数ある名演にも比肩し得ると言えるところであり、筆者としては、本演奏をスヴェトラーノフならではの超個性的な名演と評価するのにいささかの躊躇をするものではない。
カップリングには、ルーセンベリのバレエ組曲「街のオルフェウス」が収められている。
ルーセンベリは、スウェーデンの近現代の作曲家であるが、近現代の作曲家と思えないような親しみやすい旋律に彩られた佳曲を数多く作曲した知る人ぞ知る作曲家である。
同曲も1938年の作品と思えないような美しい旋律が満載の名曲であるが、スヴェトラーノフは、各場面毎の描き分けを巧みに行った、まさに聴かせ上手の名演奏を展開しており、知られざる名曲に光を当てるものとして高い評価が与えられるべき素晴らしい名演と言えよう。
スウェーデン放送交響楽団も、スヴェトラーノフの超個性的な指揮にしっかりと付いていっており、両演奏ともに最高のパフォーマンスを発揮しているものと評価したい。
音質は、1998年及び1983年のライヴ録音であるが、いずれも遜色のない優れた高音質である。
いずれにしても、かかる高音質のCDは、スヴェトラーノフ&スウェーデン放送交響楽団の名コンビぶりを鮮明な音質で窺い知ることが可能なものとして大いに歓迎したい。
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