2014年03月09日

クレンペラー&フィルハーモニア管のベートーヴェン:交響曲第1番&第8番


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EMIは、昨年のフルトヴェングラーによる一連の録音のSACD化を皮切りとしてSACD盤の発売を開始したが、今般、ついに待望のクレンペラーによるベートーヴェンの交響曲全集のSACD化が行われる運びとなった。

既に、EMIは、過去の名演を100種選定して、昨年末からSACD化して発売しているが、それらはハイブリッドSACD盤であった。

これに対して、今般のクレンペラーによるベートーヴェンの交響曲の一連の録音に際しては、シングルレイヤーによるSACD盤での発売であり、価格がやや高めであるのは難点ではあるが、音質においては極めて期待を持てると言えるだろう。

それはさておき、本盤には、ベートーヴェンの交響曲第1番と第8番が収められている。

前述のハイブリッドSACD盤においてもそうであったが、EMIはLP時代のカップリングやジャケットにも強い拘りを有しており、それ故に収録曲としては、従来CD盤やHQCD盤のカップリングとは異なっている。

これは、LP時代からのコアなクラシック音楽ファンにとっては大変に喜ばしいもののではないかと思われる。

いずれにしても、演奏自体は実に素晴らしい。

近年においては、ベートーヴェンの交響曲演奏は、ピリオド楽器やピリオド奏法による演奏が一般化しているが、両曲の演奏は、そうした近年の傾向とは真逆の伝統的な、ドイツ正統派によるものと言えるだろう。

悠揚迫らぬゆったりとしたテンポによる演奏は、あたりを振り払うかのような威容に持ち溢れており、あたかも巨象が進軍するかのような重量感に満ち溢れている。

テンポの振幅は必要最小限に抑えるなど、小賢しいアプローチとは無縁であるが、それでいて木管楽器を効果的に活かすなど格調の高さを損なわない範囲において随所にスパイスを効かせるなど、必ずしもウドの大木のような演奏にはいささかも陥っていない。

交響曲第1番や第8番のこれまでの様々な指揮者による演奏としては、ベートーヴェンの交響曲の中でも規模の小さい交響曲だけに比較的軽快に演奏ものが多いが、クレンペラーは、あたかも大交響曲に接するかのようなスケールの雄大な演奏を行っており、おそらくは同曲の演奏史上でも最も構えの大きい演奏ではないだろうか。

クレンペラーの確かな統率の下、フィルハーモニア管弦楽団もしっかりと付いていき、ドイツ風の重厚な音色を出すなど、最高のパフォーマンスを発揮していることも高く評価すべきものと考える。

いずれにしても、本演奏は、クレンペラーの巨大な芸術の凄さを十二分に満喫することが可能な素晴らしい名演と高く評価したい。

音質は、1957年のスタジオ録音であるが、従来CD盤でも、そして数年前に発売されたHQCD盤でも、比較的満足できるものであった。

ところが、前述のように、今般、待望のシングルレイヤーによるSACD化がなされるに及んで、圧倒的な高音質に生まれ変わった。

音質の鮮明さ、音場の幅広さ、そして音圧のいずれをとっても素晴らしい仕上がりであり、あらためてシングルレイヤーによるSACD盤の潜在能力の高さを思い知った次第である。

いずれにしても、クレンペラーによる素晴らしい名演を高音質SACDで味わうことができるのを大いに喜びたい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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