2014年03月06日
ムター&カラヤンのヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「四季」
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巨匠カラヤンは2つの『四季』を遺したが、これは2度目のもの。
名門ウィーン・フィルの同曲の録音も珍しく、大きな話題となった1984年録音盤である。
ムター(Vn)との新盤では、オケがウィーン・フィルということもあって、弦の響きが美しい上に、表情が優雅で洗練されている。
優美で清新な演奏で、ムターの若々しい独奏にウィーン・フィルの鮮やかな音色が同調している。
カラヤン一流の示威的なムードがないのも印象的で、自然体の演奏に若さが加わり、名曲の真価を伝えている。
カラヤンは、全体を通して弦を壮麗に響かせるが、その中からムターのソロがすっきりと浮かび上がる。
これはまったくカラヤン好みで、ソフィスティケートされた演奏の極致である。
女流ムターのソロも音が引き締まって、美しく流麗なヴァイオリンも魅力的で、洗練された優美なヴィヴァルディとなった。
ムターの若々しさと晩年の最も円熟したカラヤンの演奏がうまく絡み合っているいい作品で、イ・ムジチ以上の評価を与えても良い最高のレコーディングと言えよう。
ムターの『四季』には後年のトロンヘイム・ソロイスツとの共演によるものがあるが、それに比べて彼女の個性はかなり抑えられた演奏である。
全面にカラヤン&ウィーン・フィルのゴージャスな響きが押し出されている。
それはイ・ムジチのような安心して聴いていられる模範的なものから、アーノンクールのような挑発的な演奏とも違う堂々たるな響きである。
ムターの艶めかしい個性を発揮した「四季」が聴きたければトロンヘイム・ソロイスツとの盤をお薦めするが、今となっては時代遅れなバロック解釈をしたウィーン・フィルの豪華絢爛な演奏に耳を傾けてみるのもいいかもしれない。
ちなみにこの録音では、カラヤン自身が2台のチェンバロのうちのひとつを担当している。
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