2014年03月07日
『アマデウス』〜映画のなかのモーツァルト
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映画で使われたモーツァルトの曲のコンピレーション・アルバムをご紹介したい。
『アマデウス』や『みじかくも美しく燃え』など有名な作品から、意外な映画での使われ方など、おもしろい発見もできる。
ことに爆発的なブームになって、アカデミー賞まで受賞した映画『アマデウス』。
その音楽の演奏を担当していたのが、ネヴィル・マリナーである。
あの映画によって音楽ファンはもとより、映画ファンまでをとりこにしたわけだが、マリナーのスタイルには、きわめて現代的な歯切れのよさがある。
どの曲も綿密なアンサンブルと見通しの良い構成をもって仕上げられている。
快適なテンポ、溌剌としたリズム、まろやかな響きと克明なディテールの再現によって明快で端正な表現がつくられている。
いくぶんアクセントは強いが、リズム感覚がよく、何よりもスリムで引き締まっているのが特徴だ。
流れるような旋律美を生かしながら、小味を利かせて、さらりと表現したモーツァルトである。
イギリスの指揮者というと、すっきりと爽やかで明快な指揮をする人が多いが、マリナーもまた、そのようなひとりである。
バロック音楽の指揮から出発したマリナーだが、後になればなるほどに、大編成の楽団を指揮する機会が多くなり、音楽的なスタイルも、昔とは随分変わってきている。
スケールが大きくなってはいるが、構築的にがっしりとした演奏ではなく、旋律的な流れを大切にして、キビキビと表現しており、現代風のモーツァルトと言えよう。
ここには、オリジナル楽器とは違った意味で現代感覚があふれており、感覚的に新鮮で開放感に富む演奏となっている。
これだけの作品群をこれほどムラなく、高い水準で演奏することは容易なことではない。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2022年05月03日 22:38

その吉田氏の著書ですが,弦楽4重奏団の選定の基準が良く分かりかねる事と歌手にシュヴァルツコップが載ってないのは奇怪ですね。
2. Posted by 和田 2022年05月03日 23:04
ご多忙な中コメントありがとうございます。ご指摘のように成人してからのモーツァルトの就職活動の旅は失敗に終わりました。音楽以外の私生活での彼は実社会に適応できない実質的な破綻者だったことは想像に難くありません。彼に英才教育を施した父レオポルトは言ってみれば実利主義者のビジネスマンで、借金までして旅に出させた息子の就職活動がはかばかしくないことを厳しく諌めています。しかし根っからの芸術家気質のモーツァルトは父への返信では常に慇懃ですが、実際の行動はかなり奔放で滞在期日を大幅に延長したり作曲料を取り損なったり、父親のオーガナイズから大脱線してしまっています。またその事実からは稀有の天才を受け入れるすべを知らなかった当時の上流社会の不条理性も伝わって来ます。要領良く立ち回ればそれなりの地位を獲得することもできた筈ですが、モーツァルトはその才に欠けていました。彼は自分の能力を誰よりも良く自覚していましたが、それを切り売りする形で生計を立てる道を選ぶべきでないことも熟知していましたし、気の進まない曲は頼まれても1曲も書けませんでした。彼がザルツブルクの宮廷オルガニストの地位をコロレード大司教から解任され、他の如何なる宮廷の地位も得られなかったことは、結果的に言えば悪くなかったかと。父レオポルトはモーツァルトの将来の作曲家としての活躍よりも、現在を堅実に生きる道を選ばせたかったことが明らかですが、お仕着せの音楽家としてお定まりの曲を書きながら一生を終えるには、彼の才能は余りにも抜きん出ていたことも事実でしょう。それを考えると短かったとは言え、ウィーンでまがりなりにも独立して作曲活動に明け暮れた生活こそ、彼が望んでいた人生だったに違いありません。