2014年03月09日

クレンペラー&フィルハーモニア管のベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」、「フィデリオ」序曲


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これは凄い演奏だ。

「エロイカ」にしても「フィデリオ」序曲にしても、クレンペラーの巨大とも言える音楽を満喫することが可能な圧倒的な名演と評価したい。

このようなクレンペラーによる至高の名演について、今般、シングルレイヤーによるSACD化されるというのは何と言う素晴らしいことであろうか。

EMIは、過去の名演を100種選定して、昨年末からSACD化して発売しているが、当該SACD化がハイブリッドであったのに対して、今般はより高音質化が望めるシングルレイヤーによるSACD化であり、加えてLP時代のカップリングやジャケットへの強い拘りも、高く評価されるべきであろう。

近年においては、ベートーヴェンの交響曲演奏は、ピリオド楽器やピリオド奏法による演奏が一般化しているが、本盤の「エロイカ」の演奏は、そうした近年の傾向とは真逆の伝統的な、ドイツ正統派によるものと言えるだろう。

そもそも冒頭の2つの和音からして胸にずしりと響いてくるものがある。

その後は悠揚迫らぬゆったりとしたテンポで曲想を精緻に、そして格調の高さをいささかも失うことなく描き出して行く。

クレンペラーは各楽器を力強く演奏させており、隙間風が全く吹かない重厚な音楽が紡ぎ出されている。

木管楽器をやや強めに演奏させるのはいかにもクレンペラーならではのものであるが、これによって演奏がウドの大木になることを避ける結果となっており、演奏のどこをとっても彫りの深さが健在である。

演奏全体の造型はきわめて堅固であるが、スケールは極大であり、重厚にして重量感溢れる音楽が構築されている。

「エロイカ」には、フルトヴェングラー&ウィーン・フィルによる1944年盤(ウラニア)及び1952年盤(EMI)という至高の超名演が存在しており、この2強を超える演奏を成し遂げることは困難を極める(私見ではあるが、この2強を脅かすには、カラヤンのように徹底した音のドラマの構築という、音楽内容の精神的な深みを追求したフルトヴェングラーとは別の土俵で勝負する以外にはないのではないかと考えている)が、クレンペラーによる本演奏は、そのスケールの雄大さや仰ぎ見るような威容、演奏の充実度や重厚さにおいて、前述の2強に肉薄する素晴らしい名演と高く評価したい。

クレンペラーの確かな統率の下、フィルハーモニア管弦楽団もしっかりと付いていき、ドイツ風の重厚な音色を出すなど、最高のパフォーマンスを発揮していることも高く評価すべきものと考える。

併録の「フィデリオ」序曲についても、「エロイカ」と同様に、クレンペラーのスケール雄大な音楽づくりを味わうことができる素晴らしい名演だ。

音質は、1960年前後のスタジオ録音であるが、従来CD盤でも、そして数年前に発売されたHQCD盤でも、比較的満足できるものであった。

ところが、前述のように、今般、待望のシングルレイヤーによるSACD化がなされるに及んで、圧倒的な高音質に生まれ変わった。

音質の鮮明さ、音場の幅広さ、そして音圧のいずれをとっても素晴らしい仕上がりであり、あらためてシングルレイヤーによるSACD盤の潜在能力の高さを思い知った次第である。

いずれにしても、クレンペラーによる素晴らしい名演を高音質SACDで味わうことができるのを大いに喜びたい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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