2014年04月01日
セル&クリーヴランド管のJ.シュトラウスII:「美しく青きドナウ」/常動曲/「こうもり」序曲 他 [SACD]
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本盤は、全盛時代のセル&クリーヴランド管弦楽団による演奏の凄さを味わうことができる名SACDと言える。
本盤には、この黄金コンビによるヨハン・シュトラウス2世やヨゼフ・シュトラウスによるウィンナ・ワルツの演奏(1962年のスタジオ録音。歌劇「こうもり」序曲のみ1958年のスタジオ録音)が収められているが、一般的ないわゆるウィンナ・ワルツ的な演奏とは随分と様相の異なった演奏に仕上がっていると言えるだろう。
セル&クリーヴランド管弦楽団による全盛時代の演奏はそれは凄まじいものであり、オーケストラの各楽器セクションが一つの楽器が奏でるように聴こえるという、「セルの楽器」との呼称をされるほどの一糸乱れぬ鉄壁のアンサンブルを誇っていた。
米国においては、先輩格であるライナーを筆頭に、オーマンディやセル、そして後輩のショルティなど、自らのオーケストラを徹底して鍛え抜いたハンガリー人指揮者が数多く活躍しているが、オーケストラの精緻な響きという意味においては、セルは群を抜いた存在であったと言っても過言ではあるまい。
もっとも、そのようなセルも、オーケストラの機能性を高めることに傾斜した結果、とりわけ1960年代半ば頃までの多くの演奏に顕著であるが、演奏にある種の冷たさというか、技巧臭のようなものが感じられなくもないところだ。
本盤に収められた演奏も、そうしたセルの欠点が顕著であった時期の演奏であるが、楽曲がウィンナ・ワルツという小品であるだけに、技巧臭などは殆ど感じられないところである。
もっとも、前述のように、いわゆるウィンナ・ワルツ的な演奏とは様相が異なっていることから、ウィーン風の抒情に溢れた情感豊かな演奏を期待する聴き手には、いささか不満が残る演奏と言えなくもない。
しかしながら、演奏全体の引き締まった造型美や響きの精緻さにおいては、他の演奏には類例を見ない完全無欠の演奏に仕上がっており、聴き終えた後の充足感には並々ならないものがある。
いずれにしても、本盤に収められた各楽曲の演奏は、全盛期のセル&クリーヴランド管弦楽団によるオーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な名演に仕上がっていると高く評価したい。
音質は、今から約50年前のスタジオ録音だけに、本従来盤はいささか不満の残るものであったが、数年前に発売されたシングルレイヤーによるSACD盤は圧倒的に鮮明な高音質であり、セル&クリーヴランド管弦楽団による演奏の精緻さを味わうには望み得る最高のものである。
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