2014年04月06日

クライバー&バイエルン国立管のベートーヴェン:交響曲第4番(1982年ライヴ) [SACD]


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クライバーは、その実力の割にはレパートリーがあまりにも少ない指揮者であったが、ひとたびレパートリーとした楽曲については、それこそより優れた演奏を志向すべく何度も演奏を繰り返した。

ベートーヴェンの交響曲第4番は、そうしたクライバーの数少ないレパートリーの一つであったが、DVD作品や海賊盤を除けば、本盤に収められた演奏は、その唯一の録音となったものである。

筆者が、本盤の演奏を聴いたのは中学生の時だったが、それまで今一つ親しめる存在ではなかった同曲の魅力を、本演奏を聴くに及んで初めて知ったことが今となっては懐かしく思い出される。

その後は、同じスタイルの演奏であれば、ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによる来日時のライヴ録音(1973年)などが高音質で発売(昨年、ついにシングルレイヤーによるSACD化)されたことから、本演奏の存在感は若干色褪せてきていたことは否めないところであったが、今般、高音質化されて発売された本演奏に接すると、あらためてその演奏の凄さを思い知った次第である。

全曲を約30分という凄まじいスピードで駆け抜けており、繰り返しなどもすべて省略しているが、それでいて、各旋律の端々に込められた独特のニュアンスの豊かさ、そして、思い切った強弱の変化やテンポの効果的な振幅を駆使して、実に内容豊かな演奏を繰り広げていると言えるだろう。

クライバーが本演奏の発売を許可したのは、数多く行ってきた同曲の演奏の中でも、崇敬するベームの追悼コンサートに際しての本演奏を特別視していたからであると思われるが、それも十分に納得することが可能な圧倒的な超名演と高く評価したい。

バイエルン国立管弦楽団も、クライバーの統率の下、渾身の名演奏を繰り広げている。

第1楽章のヴァイオリン演奏のミスや、とりわけ終楽章など、あまりのテンポの速さにアンサンブルが乱れる箇所も散見されるが、演奏全体に瑕疵を与えるほどのものではなく、むしろ、実演ならではのスリリングさを味わうことができる点を高く評価すべきであろう。

音質は、従来CD盤でも十分に満足できるものであったが、今般、シングルレイヤーによるSACD化がなされるに及んで大変驚いた。

待望のSACD化が行われることによって、見違えるような鮮明な音質に生まれ変わった。

音質の鮮明さ、音場の幅広さ、そして音圧のいずれをとっても一級品の仕上がりであり、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第である。

いずれにしても、クライバーによる圧倒的な超名演を、SACDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したいと。

なお、本盤の価格について一言コメントをしておきたい。

前述のように、演奏内容や音質においては超一流である本盤であるが、約30分程度のベートーヴェンの交響曲第4番の演奏を収録したのみのSACDの価格として、3780円という価格がはたして適正と言えるだろうか。

同じくシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤を発売しているユニバーサルや日本コロムビアが4500円で発売していることを視野に入れたのであろうが、それでも収録されている楽曲の密度からすれば、そもそも比較の対象にならない。

いずれにしても、SACD化に果敢に取り組む姿勢には敬意を表するが、その価格設定については、この場を借りて再考を促しておきたい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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