2014年11月07日
フルトヴェングラー&ウィーン・フィル/ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』、第7番(SACD)
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素晴らしい高音質SACDの登場だ。
音質において決して恵まれているとは言えなかったフルトヴェングラーの遺産が、これほどまでに極上の高音質に生まれ変わったのはまさに奇跡とも言うべきであり、演奏内容の高さを加味すれば、歴史的な偉業と言っても大袈裟ではあるまい。
そして、EMIが先般ついにSACDの発売に踏み切ったことも、低迷が続くレコード業界にとっては素晴らしい快挙であったと言えるところであり、大いにエールを送りたいという気持ちで一杯であった。
高音質化の内容は、「第5」と「第7」では異なる面があり、「第5」では、音場の拡がりと音圧が見事であり、「第7」は、新マスターテープの発見も多分にあると思うが、あたかも新録音のような鮮明さが売りのように思われる。
「第1」&「エロイカ」盤と同様であるが、これだけの高音質化が施されると、演奏内容への評価も俄然異なってくる。
「第5」については、戦後の復帰後のライヴ録音(1947年)が、特に、アウディーテによる復刻によって高音質化も施されるなど、随一の名演と評価してきたが、演奏内容の精神的な深みにおいては、本盤の「第5」もそれに十分に匹敵するのではなかろうか。
既発のCDとは異なり、低弦のうなるような響きや金管楽器及び木管楽器の鮮明さが、フルトヴェングラーの解釈をより明瞭に浮かび上がらせることに繋がり、演奏内容に彫りの深さが加わったことが何よりも大きい。
「第7」については、1943年盤と1950年盤が双璧であり、特に、オーパス蔵による素晴らしい復刻によって、これまで1943年盤を推してきたが、本高音質化CDの登場によって、これからは1950年盤を随一の名演に掲げることにしたい。
「第7」の名演には、荘重なインテンポによるクレンペラー盤(1968年)や、音のドラマを徹底的に追求したカラヤン盤(1978年のパレクサ盤)があるが、本盤は、それら両者の長所を有するとともに、ドラマティックな要素も加えた随一の名演と高く評価したい。
同じ「第5」と「第7」をカップリングしたCDとしては、一昨年末にシングルレイヤーSACDで発売されたクライバー盤があり、それも極上の高音質で名演と評価はするが、本盤と比較すると(あくまでも比較論ではあるが)、何と軽妙浮薄な演奏に聴こえることか。
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