2014年03月20日
フルトヴェングラー/ベートーヴェン:交響曲第6番『田園』、第8番(SACD)
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ライナーノーツで満津岡氏が論じられておられるように、フルトヴェングラーは、ベートーヴェンの奇数番号の交響曲を得意とし、偶数番号の交響曲はワルターなどの演奏に一歩譲るとされている。
確かに、「第2」など、このシリーズの1曲しか録音が遺っていないし、「第8」も3種類だけしか遺されていない。
しかしながら、本盤の「田園」や本シリーズの「第4」を聴くと、果たして、そのような単純な考え方が成り立つのかと疑問が生じてくる。
それくらい、本盤の「田園」は、これまで発売されたCDとは次元が異なる高音質なのだ。
弦楽器の艶やかな、そしてホルンの朗々たる響きは、あたかも最新録音に近いような鮮度を誇っており、低弦の重量感溢れる迫力も出色のものだ。
これほどまでに高音質化されると、「第4」と同様であるが、演奏内容に対する評価も俄然変更を余儀なくされることになる。
フルトヴェングラーの「田園」は、これまでの従来盤で聴くと、あまりのスローテンポ(特に第1楽章)ぶりに、お化けが出てきそうだとの評価をしたこともあるが、本盤を聴くと、そのテンポが実に理にかなった適切なものであることがよくわかる。
その深沈たるコクのある味わい深さは、フルトヴェングラーだけが成し得る至純の表現と言うべきであり、終楽章の讃歌に至るまで、これ以上は求め得ないような深みのある凄い音楽が連続する。
「田園」と言えば、ワルターの新旧両盤やベーム盤が何よりも名演として念頭に浮かぶが、こうして高音質化された本盤を聴くと、特に、その内容の深さという点に鑑みれば、フルトヴェングラーの本演奏こそ、それら他の名演を凌駕する至高の領域に達していると言える。
これに対して、「第8」は、音質の改善効果がイマイチである。
もちろん、「第2」などと比較すると、まだましと言えるのかもしれないが、それでも「田園」と比較して聴いてみると、その音質の劣悪さが際立つ。
もちろん、演奏自体は、さすがと思わせる箇所も多く、記録としては貴重なものと言えよう。
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