2014年05月19日
フルトヴェングラー&ベルリン・フィル/ブルックナー:交響曲第7番(SACD)
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本盤は、フルトヴェングラーの遺産のSACD化シリーズ第2弾の中では、音質改善効果が極めて少ないと言える。
第1弾でのベートーヴェンの「第2」や「第8」ほどの劣悪な音質ではないが、これらのCDでは、併録の「第4」や「第6」が見違えるような高音質になっていたために高い評価をしてきた。
他方、本盤はブルックナーの「第7」のみの収録であり、残念なのは、マスターテープに起因するものとは思うが、低音があまりにも貧弱で鳴り切っていないということである。
これは、ブルックナーの交響曲の録音としては致命的な欠陥であろう。
フルトヴェングラーのブルックナーへのアプローチは、アッチェレランドを随所に施すなど思い切ったテンポの緩急を駆使するというドラマティックなものであり、現代におけるブルックナー演奏においては、時代遅れとも言うべき大時代的な演奏様式だ。
しかしながら、ライナーノーツで相場ひろ氏が解説しておられるように、本盤の録音当時には、こうしたドラマティックな演奏様式が一般的であったのであり、必ずしもフルトヴェングラーの演奏が特異なものであったとは言い難い。
ただし、このようなドラマティックな演奏は、低音がしっかりと捉えられた鮮明な音質でないと、きわめて軽妙浮薄な演奏に聴こえてしまう危険性が高い。
もっとも、高音質ではあっても、フルトヴェングラーの演奏様式の表層だけを模倣したバレンボイムの凡庸な演奏などは論外であるが、フルトヴェングラーの彫りの深い演奏を、この程度の音質で味わうには相当に無理があると言うべきである。
同時期の録音である「第8」の方は、今般のSACD化によってきわめて良好な音質に生まれ変わったことに鑑みれば、きわめて残念であるというほかはない。
いずれにしても、既発売のCDと比較すると、若干は音質の向上効果は見られるところであり、フルトヴェングラーのドラマティックな名演を、不十分ながら、これまでよりは良好な音質で味わうことができることについては一定の評価をしておきたい。
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