2014年03月22日
フルトヴェングラー&ウィーン・フィル/管弦楽名曲集(SACD)
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本盤は、フルトヴェングラーの管弦楽曲のいわゆる小品を集めたCDであるが、これまでのリマスタリングCDとは次元の異なる素晴らしい高音質SACDと高く評価したい。
フルトヴェングラーは、いかなる規模の小さい小品であっても、他の規模の大きい交響曲やオペラなどに接するのと同様のアプローチを行っている。
その意味では、クレンペラーと同様であるが、クレンペラーのように聴き手がどう考えようが、わが道を行くということはなく、聴き手に楽曲の魅力を伝えるという演出巧者ぶりは多分に感じられる。
それは、後年のカラヤンと同様なのであるが、カラヤンのように、小品に特化した聴かせどころのツボを心得た演奏を行っているというわけではない(カラヤンの演奏には、フルトヴェングラーの演奏とは違った、圧倒的な音のドラマの構築という魅力があり、決して劣っているわけではない)。
フルトヴェングラーの場合は、小品に特化した演奏は薬にしたくもなく、その演奏は楽曲全体が聴かせどころとも言える濃密なものであり、それ故に、小品においても、雄渾なスケールをいささかも損なうことなく、それでいて聴き手を直ちに惹きつけてやまない彫りの深い名演の数々を生み出したのだと言える。
本盤も、そうしたフルトヴェングラーだけが成し得た至芸の数々を味わうことが可能だ。
メンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」序曲とベルリオーズの「ラコッツィ行進曲」は1949年の録音であるが、決して不満を感じさせる音質ではなく、また他の曲はいずれも1950年代の録音であり、マスターテープの保存状態もかなり良かったものと思われる。
高弦や木管楽器のつややかな響き、完全とは言えないものの相当程度各弦楽器が分離して鮮明に聴こえるようになった弦楽合奏など、驚異的な高音質と言える。
ウェーバーの「魔弾の射手」序曲のホルンもいささかも古臭さを感じさせず、実に生々しく響くのには大変驚かされた。
いずれにしても、フルトヴェングラーの至芸を、現在望み得る最高の音質で味わうことができることの幸せを大いに噛みしめたい。
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