2014年09月11日

フルトヴェングラー/ベートーヴェン:『運命』(1937)、ヴァイオリン協奏曲(メニューイン)、ワーグナー:ブリュンヒルデの自己犠牲(フラグスタート)、他[SACD]


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本盤に収められたベートーヴェンの交響曲第5番は、新たに発見されたメタル・マスターよりリマスタリングを行っているとのことである。

録音は、1937年のスタジオ録音であるが、確かに、これまでの既発売のCDとは次元の異なる良好な音質に生まれ変わったと言える。

フルトヴェングラーの「第5」の名演としては、1947年の復帰後のコンサートの3日目のライヴ録音(DG)が超名演として知られているが、これはシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化されて、それによって音質の抜本的な改善がみられたところである。

復帰初日のライヴ録音も一昨年、アウディーテからきわめて鮮明な音質で発売されたことから、今後はDG盤とアウディーテ盤が決定盤との評価が確立するものと考えられる。

これに次ぐ名演とされているのが、昨年1月にEMIからSACD盤が発売されたが、1954年のスタジオ録音ということになる。

ドラマティックな1947年盤に対して、こちらは荘重なインテンポを基調とする奥行きのある演奏ではあるが、フルトヴェングラーの芸術の懐の深さをあらわすものとして、この3強の地位は今後ともいささかも揺るぎがないと考えられる。

そして、この3強に続く名演が、1943年のライヴ録音(既にドリームライフによりSACD化)と本盤の1937年のスタジオ録音ということになるのではないだろうか。

フルトヴェングラーの全盛期は1930年代と主張される識者の方も多数おられるところであり、本演奏においても、フルトヴェングラー&ベルリン・フィルの黄金時代の演奏がいかに重厚で深みのあるものであったのかがよく理解できるところだ。

既発CDの音質がきわめて劣悪であったことから、前述の3強や1943年盤の後塵を拝していた名演が、今般のSACD化によって再び脚光を浴びることになることが大いに期待されるところだ。

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、メニューインと組んでルツェルン祝祭管弦楽団を指揮したスタジオ録音であるが、一般的にメニューインとの演奏で名演とされているのは1953年のスタジオ録音盤(同様に今回SACD化)の方である。

しかしながら、今般のSACD化によって見違えるような良好な音質に生まれ変わっており、1953年盤にも比肩し得る名演であることが証明された意義は極めて大きい。

メニューインについては、とある某有名評論家を筆頭に芳しからざる酷評がなされているが、フルトヴェングラーの下で演奏する際には、気品溢れる芸術的な演奏を披露していると言っても過言ではあるまい。

それにしても、メニューインのヴァイオリンの弓使いまで聴こえる今般のSACD化による高音質化の威力は殆ど驚異的ですらある。

ブラームスのハイドンの主題による変奏曲は、1952年のライヴ録音だけに、今般のSACD化による音質向上効果には著しいものがあり、実演ならではのフルトヴェングラーのドラマティックな表現をも加味すれば、フルトヴェングラーによる同曲の演奏の中では最高の名演と高く評価したい。

ワーグナーの2曲は、いずれも1948〜1949年にかけてのスタジオ録音であるが、こちらもSACD化によって素晴らしい音質に蘇った。

いずれも定評ある懐の深い名演であるが、特に、「ブリュンヒルデの自己犠牲」におけるフラグスタートの名唱が鮮明に響くのには大変驚いたところであり、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第だ。

なお、本盤に収められたハイドンの主題による変奏曲は、第1弾のブラームスの交響曲第1番(TOGE−11006)と同じ日のコンサートの際の演奏であるにもかかわらず、当該盤には本演奏ではなく1949年のスタジオ録音の方が収められていた。

フルトヴェングラーの実演での凄さに鑑みれば、同一のコンサートの演目は可能な限り同じCDに収めるのがベストであり、このようなカップリングには若干の疑問を感じることをこの場を借りて指摘しておきたい。

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classicalmusic at 01:09コメント(0)トラックバック(0)フルトヴェングラー | メニューイン 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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