2014年09月13日
メニューイン&フルトヴェングラー/メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲、バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番(SACD)
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本盤にはメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲と、フルトヴェングラーのレパートリーとしては大変に珍しいバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番が収められているが、いずれも素晴らしい名演と高く評価したい。
ヴァイオリンはいずれもメニューインであるが、これまた素晴らしい名演奏を披露している。
メニューインは、フルトヴェングラーとの共演が終わった後は、これといった名演は遺しているとは必ずしも言えないので、本演奏の録音当時がベストフォームにあったのではないかとも考えられる。
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、4大ヴァイオリン協奏曲の中でも、チャイコフスキーと同様に音楽内容の深みよりは旋律の美しさが売りの作品である。
したがって、音楽の表層を美しく装っただけの演奏でも十分に魅力のある演奏を成し遂げることは可能であるが、さすがにフルトヴェングラーはそのような薄味の演奏は行っていない。
荘重なインテンポで楽曲の心眼を抉り出していくような奥行きのある演奏は、深沈とした情感を湛えていて実に感動的であり、スケールも雄大だ。
メニューインのヴァイオリンも、表面上の美麗さに拘泥することなく、情感の豊かさと気品の高さを湛えているのが素晴らしい。
バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番も名演だ。
バルトークは巷間「現代のベートーヴェン」と称されているが、フルトヴェングラーの同曲へのアプローチは、ベートーヴェンの楽曲に接する時と何ら変わりがない。
ヴァイオリンだけでなく、オーケストラ演奏にも超絶的な技量が求められる楽曲であるが、フルトヴェングラーは同曲でも徹底した内容重視。
音楽の内容の精神的な深みを徹底的に追求しようという姿勢は健在であり、楽曲の核心に鋭く切り込んでいこうとする凄みのある演奏は、我々聴き手の肺腑を打つのに十分だ。
メニューインのヴァイオリンもフルトヴェングラーの指揮に一歩も引けを取っていない。
バルトークも生前、メニューインのヴァイオリン演奏を高く評価していたということであり、メニューインもバルトークの音楽に私淑していたとのことであるが、本演奏でも、卓越した技量をベースとしつつ、楽曲への深い理解と愛着に根差した濃密で彫りの深い演奏を披露しているのが素晴らしい。
両演奏ともに1950年代のスタジオ録音であることもあって、今般のSACD化による高音質化の効果には大変目覚ましいものがあり、これまでの既発CDとはそもそも次元の異なる鮮明な音質に生まれ変わった。
メニューインのヴァイオリンの弓使いまで聴こえる鮮明さはほとんど驚異的ですらある。
このような名演を、現在望み得る最高の高音質SACDで味わうことができるのを大いに喜びたい。
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