2014年03月22日
メニューイン&フルトヴェングラー/ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲、2つのロマンス(SACD)
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本盤にはフルトヴェングラーがメニューインを起用してスタジオ録音を行ったベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲と、ロマンス第1番及び第2番が収められているが、いずれも素晴らしい至高の超名演と高く評価したい。
ヴァイオリン協奏曲については、今般の一連のシリーズにおいて同時にSACD化された、ルツェルン祝祭管弦楽団と1947年にスタジオ録音した演奏もあり、そちらも素晴らしい名演で今般のSACD化によって更にそのグレードを上げたところである。
両演奏の優劣の比較は困難を極めるところであるが、録音が本演奏の方が良好であることや、オーケストラの力量においてもフィルハーモニア管弦楽団の方が数段上であることを考慮に入れれば、筆者としては本演奏の方をわずかに上位に置きたいと考える。
本演奏におけるフルトヴェングラーの指揮は例によってスケールの雄大な巨匠風そのものだ。
先を決して急ぐことはない荘重なインテンポで楽想を進めていくが、常に音符の背後にある音楽の精神的な深みを追求しようという姿勢には不動のものがあり、楽曲の核心を鋭く抉り出していくような彫りの深さには際立ったものがある。
フルトヴェングラーによる奥行きのある指揮に対して、メニューインのヴァイオリンも一歩も引けを取っていない。
メニューインは、フルトヴェングラーの死後はクレンペラーとの共演も含め、さほどの名演を遺しているとは言い難いので、この時がベストフォームとも言えるのかもしれないが、卓越した技量を駆使しつつ、情感の豊かさや気品の高さをいささかも失うことがなく、いささかも隙間風の吹かない濃密な演奏を展開しているのが素晴らしい。
併録の「ロマンス」第1番及び第2番は、フルトヴェングラーならではの濃厚なロマンティシズムを味わうことが可能な名演だ。
本演奏におけるうねるような人間味溢れる濃厚さは、他の指揮者だと大仰に聴こえてしまう危険性もあるが、フルトヴェングラーの場合はいささかもそのような危険性に陥ることはない。
それどころか、深沈とした奥行きを感じさせるというのは、フルトヴェングラーだけに可能な圧巻の至芸と言える。
録音は、1953年のスタジオ録音であり、フルトヴェングラーの録音としては比較的恵まれているとも言えるが、今般のSACD化によって見違えるような素晴らしい音質に生まれ変わった。
メニューインのヴァイオリンの弓使いまで聴こえるのは殆ど信じ難いほどであり、このような歴史的な名演を、現在望み得る最高の高音質SACDで味わうことができるのを大いに喜びたい。
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