2014年03月24日
ザンデルリンク&スウェーデン放送響のブラームス:交響曲第4番、悲劇的序曲
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巨匠クルト・ザンデルリンクと言えば、2度の交響曲全集を録音しているほどブラームスを得意としていた。
セッション録音のベルリン交響楽団との新全集と同じ年にライヴ録音されたこの第4番は、ザンデルリンクのどの同曲異演よりもいっそう主情的で情熱的というか、私小説的な解釈とも言える。
例によって遅いテンポが採用されているが、その劇性は凄まじく手に汗握る熱演となっている。
また、ロマン主義解釈の大家であることは疑いないザンデルリンクであったが、ここまで耽溺的な一面があったのかと驚かされる。
特に第1楽章はどこもかしこも詠嘆しているような、諦観の涙に濡れた美しい情感に覆われており、祈りにも似た没入を示している。
もともと存在自体がアナクロであったこの作曲者の辿り着いた最後の境地である作品ゆえに、こういうアプローチは正道だと思う。
美しいという点では、チェリビダッケの同曲の演奏も異常なほど耽美的であったが、ある意味で人間界を越えたような抽象的な美だった。
だがザンデルリンクは同じように耽美的でも、もっとずっと濃厚な人間感情に彩られている。
しかしその一方で、速いテンポで鋭角的とさえ評せる第3楽章のように一筋縄にはいかない部分もあって、その裂帛の気合いに身の毛もよだつばかりだ。
フィナーレに至っては奈落の底へ突き落とされるかのようなカタルシスさえ感じさせる。
とはいえ、古典形式に厳格に拘った作曲者に対して、情に溺れ過ぎて形を壊すような背信行為には陥っていないところは流石と言うべきであり、興味深い。
「悲劇的序曲」はベルリン交響楽団との全集では再録音しなかった曲で、第4番の録音から7年後の録音だが、古格を保つ驚愕の名演であり、交響曲と殆ど同じことが言える。
録音状態も良好なので、これら2曲を熱愛する人には心からお薦めしたい。
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