2022年08月20日
ザンデルリンク&ミュンヘン・フィルのブラームス:交響曲第4番、ベートーヴェン:「エグモント」序曲、J.S.バッハ:2台のヴァイオリンのための協奏曲
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1984年11月23日 ミュンヘン・ヘルクレスザールにおけるステレオ・ライヴ録音。
巨匠ザンデルリンクは、1980年代から1990年代にかけてミュンヘン・フィルに頻繁に客演を繰り返した。
このアルバムでは、ベートーヴェンの「エグモント」序曲、そしてJ.S.バッハの2台のヴァイオリンのための協奏曲は、ブラームスの交響曲第4番に比べるとあまり高い評価は評論誌でされてなかったが、耽美的な演奏であることは、収録されている曲全体を通じて感じられた。
「エグモント」序曲からして壮大、重厚な響きに圧倒される。
バッハはもちろん旧スタイルの演奏で、堂々たる押し出しの立派な音楽を作っている。
そして「ブラ4」! これぞ圧倒的な名演奏だ。
尋常ではない遅いテンポが採用され、ロマンティシズム、耽美指向が濃厚に漂う個性的な演奏である。
旧東ドイツの指揮者と言えば、ケンペのブラームスの交響曲全集、そしてザンデルリンクのブラームスの交響曲全集を聴き、いずれも「らしさ」を感じながら、聴き惚れていた頃を懐かしく思い出す。
殊にザンデルリンクがシュターツカペレ・ドレスデンを指揮した交響曲全集は音楽的に古風な体質を持つ独特な名演奏として評されていた。
筆者にとっては、ブラームスはやはりバーンスタインやカラヤンで聴くより何よりザンデルリンクであり、地味ながら男心をそそる細やかなタッチが当時新鮮であった。
ここではチェリビダッケが鍛えたミュンヘン・フィルの明るく、美しいサウンドを時には豪快に、時には繊細に料理したライヴゆえの自在な起伏が最高だ。
逆に、乱調の気配が全くなく、セッション録音のように大人しくきっちりと音楽が進行している内省的な音楽の性格の部分では、美しくあまりに切ない懐かしい響きとリズムの重さがとても心地よく聴こえる。
どうしても聴きたくて仕方が無い、そういう衝動に駆られる男性的な魅力のある音楽と演奏であり、情熱の塊のようなものも時折感じられる箇所も少なくない。
1986年のチェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィルによる来日公演との比較も一興。
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