2014年03月26日
ショルティ&コンセルトヘボウのマーラー:交響曲「大地の歌」
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20世紀最高のマーラー指揮者の一人であったサー・ゲオルグ・ショルティが、1992年に、マーラーゆかりのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団に客演した際のライヴ録音。
まず、かつてのシカゴ交響楽団を指揮してマーラーの交響曲全集を録音した頃のショルティの音楽とは一味違うことを最初に記しておく。
ライヴということで編成も小編成なのかもしれないし、あるいはオーケストラの特色もあるのかもしれないが、繊細で非常に丁寧である。
但し、マーラーの指示を細かく解釈するといった類の丁寧さではない。
歌唱もシカゴ盤に比較すると、内向的というか、しみじみと歌っているし、それに対する伴奏的な立場を堅持しているのかもしれない。
第1楽章、第5楽章などはパワフルではないが、特に老成した雰囲気でもなく、やや健康的にすぎるかもしれない。
それでも終楽章ではテンポをゆっくり取り、非常に儚げなタッチで不思議な浮遊感を保ちながら演奏していく、独特のメルヘンチックな音楽である。
コンセルトヘボウ管のアンサンブルはシカゴ響に優るとも劣らないのだが、ここまでショルティの自由にうねる表現に一糸乱れずついてきているのは大変であっただろう。
しかも、シカゴ響より温かみのあるコンセルトヘボウ管の弦楽器の音色は、まるでこちらまで涅槃の境地に連れて行かれそうになるくらい素晴らしい。
ショルティが一番最初にレコーディングしたという、1961年のコンセルトヘボウ管との交響曲第4番の第3楽章終結部もこんな音だったなぁと思い返した次第である。
音質も英デッカによる極めて優秀なものであり、ライヴ録音ではあるが、拍手や客席の音は特になく、演奏上の傷もない。
巨匠晩年の感動的な「大地の歌」であり、ショルティを食わず嫌いしている人は一度これを聴いてみてほしい。
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