2014年10月04日
ロストロポーヴィチ&ターリッヒのドヴォルザーク:チェロ協奏曲、他
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ドヴォルザークのチェロ協奏曲は、チェロ協奏曲の王様とも言うべき不朽の名作であり、それ故に古今東西の様々なチェリストがこぞって演奏・録音を行ってきた。
それだけに、名演には事欠くことはなく、本稿にも書ききれないほどの数多い名演が存在している。
カザルスと並んで20世紀最大のチェリストと称されたロストロポーヴィチも、同曲の録音を繰り返し行っており、ターリッヒ&チェコ・フィルとの演奏(1952年(本盤))を皮切りとして、ハイキン&モスクワ放送交響楽団との演奏(1956年)、カラヤン&ベルリン・フィルとの演奏(1968年)、ジュリーニ&ロンドン・フィルとの演奏(1977年)、そして小澤&ボストン交響楽団との演奏(1985年)の5度にわたってスタジオ録音を行っている。
その他にもライヴ録音も存在しており、これは間違いなくあらゆるチェリストの中でも同曲を最も多く録音したチェリストと言えるのではないだろうか。
これは、それだけロストロポーヴィチが同曲を深く愛するとともに、満足できる演奏がなかなか出来なかった証左とも言えるところだ。
ロストロポーヴィチは、小澤との1985年の演奏の出来に大変満足し、当該盤のレコード会社であるエラートに、今後2度と同曲を録音しないという誓約書まで書いたとの噂も伝えられているところである。
したがって、ロストロポーヴィチの円熟のチェロ演奏を聴きたいのであれば1985年盤を採るべきであろうが、オーケストラ演奏なども含めた演奏全体を総合的に考慮に入れると、筆者としては、本盤に収められたターリッヒ&チェコ・フィルとの演奏を随一の名演に掲げたいと考える。
それどころか、異論は十分に予想されるが、筆者としては、本演奏こそがこれまでの同曲のあらゆる演奏のトップの座に君臨する至高の超名演と高く評価したいと考えているところだ。
本演奏でのロストロポーヴィチのチェロ演奏は凄まじい。
1985年盤のような味わい深さは存在していないが、重厚な迫力においては本演奏の方がはるかに上。
重心の低い重低音は我々聴き手の度肝を抜くのに十分であるし、同曲特有のボヘミア風の抒情的な旋律の数々も心を込めて情感豊かに歌い抜いている。
卓越した技量は殆ど超絶的とも言えるところであり、演奏全体に漲っている強靭な気迫や生命力は圧倒的で、ほとんど壮絶ささえ感じさせるほどだ。
確かに、1985年盤などと比較するといささか人工的とも言うべき技巧臭や、ロストロポーヴィチの体臭のようなものを感じさせるきらいもないわけではないが、これだけの圧倒的な名演奏を堪能させてくれれば文句は言えまい。
そして、ロストロポーヴィチの圧倒的なチェロ演奏にいささかも引けを取っていないのがターリッヒ&チェコ・フィルによるこれまた圧倒的な豪演である。
これにロストロポーヴィチのチェロが加わった演奏は、時に地響きがするほどの迫力を誇っており、指揮者、チェリスト、オーケストラの3者に最高の役者が揃い踏みした本演奏は、まさに豪華絢爛にして豪奢な壮大な音の建造物と言っても過言ではあるまい。
ロストロポーヴィチのチェロ演奏にある種の人工的な技巧臭を感じる聴き手がいることも十分に想定できるところであるが、これほど協奏曲の醍醐味を感じさせてくれる演奏は他に類例を見ない希少なものと言えるところであり、筆者としては、前述のように、本演奏こそはドヴォルザークのチェロ協奏曲演奏史上でも最高の超名演と高く評価したい。
併録のシューマンのチェロ協奏曲も、ドヴォルザークのチェロ協奏曲と同様のアプローチによる超名演であるが、特に聴かせどころのツボを心得たロストロポーヴィチならではの語り口の巧さが光っているのが素晴らしい。
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