2014年04月09日

セル&クリーヴランド管のモーツァルト:交響曲第39番&第40番、他 [SACD]


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実に引き締まった筋肉質の演奏である。

まさに、セル&クリーヴランド管弦楽団の全盛期の演奏の凄さを味わうことができると言えるだろう。

セルは、先輩格である同じハンガリー出身の指揮者であるライナーや、ほぼ同世代でハンガリー出身のオーマンディなどとともに、自らのオーケストラを徹底して鍛え抜いた。

セルの徹底した薫陶もあって、就任時には二流の楽団でしかなかったクリーヴランド管弦楽団もめきめきとその技量を上げ、ついにはすべての楽器セクションがあたかも一つの楽器のように奏でると言われるほどの鉄壁のアンサンブルを構築するまでに至った。

「セルの楽器」との呼称があながち言い過ぎではないような完全無欠の演奏の数々を成し遂げていたところであり、本盤の演奏においてもそれは健在である。

モーツァルトの交響曲第39番及び第40番の名演としては、優美で情感豊かなワルター&コロンビア交響楽団による演奏(1959、1960年)(第40番についてはウィーン・フィルとの演奏(1952年))や、それにシンフォニックな重厚さを付加させたベーム&ベルリン・フィルによる演奏(1962、1966年)が名高いが、セルによる本演奏はそれらの演奏とは大きく性格を異にしていると言えるだろう。

むしろ、第39番については、即物的な演奏でありながら随所に繊細な表情づけが施されたムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによる名演(1973年)にも通じるものがあるのではないかと考えられるところだ。

もっとも、演奏の即物性においては、本演奏はムラヴィンスキーほどに徹底しているとは言い難いが、演奏全体の造型の堅牢さにおいてはいささかも引けをとるものではない。

そして、各フレーズにおける細やかな表情づけも、ムラヴィンスキーのように徹底して行われているわけではないが、それでも各旋律の端々からは汲めども尽きぬ豊かな情感が湧き出してきており、決して無慈悲で冷徹な演奏には陥っていない点に留意しておく必要がある。

いささかオーケストラの機能美が全面に出た演奏とは言えなくもないところであり、演奏の味わい深さという点では、特に第40番については、クリーヴランド管弦楽団との来日時のライヴ録音(1970年)に一歩譲るが、演奏の完成度という意味においては申し分がないレベルに達しており、本盤の演奏を全盛期のこのコンビならではの名演と評価するのにいささかも躊躇するものではない。

併録のモテット「エクスルターテ・イウビラーテ(踊れ、喜べ、幸いなる魂よ)」も、ソプラノのジュディス・ラスキンの名唱も相俟って、素晴らしい名演であると評価したい。

音質は、録音年代が古いこともあって、従来盤は今一つ冴えないものであったが、数年前に発売されたシングルレイヤーによるSACD盤は、これまでの従来盤のいささか劣悪な音質を一新するような、途轍もない鮮明な高音質に生まれ変わった。

Blu-spec-CD盤も発売されており、それも十分に良好な音質であるが、所詮SACD盤の敵ではない。

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classicalmusic at 21:07コメント(0)トラックバック(0)モーツァルト | セル 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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