2014年03月28日
ムラヴィンスキー/ショスタコーヴィチ:交響曲第5番、オラトリオ「森の歌」
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ショスタコーヴィチの交響曲第5番も「森の歌」も初演者であるムラヴィンスキーによる歴史的名演として名高いもの。
ムラヴィンスキーにとってもシンボルとなっている「第5」は、何度も録音を繰り返し、いずれも素晴らしい演奏揃いであるが、この1954年のスタジオ録音をベストとする人が多い名演中の名演。
ムラヴィンスキーの重量感豊かな演奏法があますところなく示された素晴らしい表現だ。
少しもつくろわずに率直に処理しているが、そこには情緒もあれば民族性も描き出されている。
暗さと淋しさ、寒さを感じさせる音感、ロシアをそのままに響かせたこの演奏は誰にでもできるものではない。
一方、なかなか聴く機会がない「森の歌」は、1948年のジダーノフ批判により苦境に追い込まれたショスタコーヴィチが、当局の批判に応えて書いた大作である。
植林計画をテーマとしたもので、極めて民族色の濃い音楽となっている。
「森の歌」は、亡命することなく祖国でしたたかに生涯を全うしたショスタコーヴィチの苦しみを見るような苦い作品だが、ムラヴィンスキーの微塵の妥協もない演奏は、さながら鋼鉄の如しである。
ムラヴィンスキーの演奏は、もうこれ以上の演奏は考えられないほど壮絶で、ロシア音楽界の総力を結集したような力強い演奏である。
ムラヴィンスキーの棒は、この作品の持つ民族的エネルギーを情熱的、かつ率直に表現したもので、まさしく指揮芸術の頂点を極めた人の演奏だ。
それに応えて、バスのペトロフの野太い歌唱はいかにもロシアの大地を思わせ、泥臭い合唱も壮大な広がりをもった絶唱を聴かせてくれる。
「第5」は1954年の初期ステレオ録音、「森の歌」は1948年のモノラル録音なのでもともと音質は良好とは言えないが、とりわけ「森の歌」は空前絶後の超名演であり、両曲ともリマスタリングによりかつての国内盤よりも鮮明な音質になっているのが有難い。
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