2014年03月31日
ベームのワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』(1960年メト・ライヴ)
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1960年1月9日、ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場に於けるライヴ録音で、モノラルのライヴながら良い音質である。
2011年1月に陽の目を見たメトロポリタン歌劇場でのライヴで、個人所有のエア・チェック音源をゴールデン・メロドラムがCD化したディスクである。
ワーグナー自身が自画自賛した作品だけに、“聖地”バイロイトだけでなく、世界中の歌劇場においても屈指の人気作として幾多の名舞台が繰り広げられてきた。
録音も数多く存在するが、ベームは自らが語るように「バッハとモーツァルトによって浄化された様式的ワーグナー像」を確立している。
それは「終局迄突き進む唯一のクレッシェンド」であり、まさに音楽的に見て隙がない。
強固な芯が全体を貫いていて、その推進力は物凄いエネルギーを秘めている。
「私は『トリスタンとイゾルデ』のイゾルデ役を33人の指揮者の下で歌ってきたが、ベームに匹敵する人は誰もいなかった」という旨の事を語ったというニルソンを始め、歌手陣の声は1960年のエア・チェックという事を考えると、それなりの鑑賞度の高さを具え、当時の会場の空気を伝えてくれる。
しかし、管弦楽は遠い。
その為、高揚感という点ではやや物足りない。
管弦楽がもっとましな録音だったら……と思わずにはいられない。
とはいえ、全体的に高い水準でまとめられているところは流石にベームならではであり、物足りない個所を割引いてもなお余りある魅力があり、決して史料的価値だけの録音ではない。
そうした意味において当盤が発掘された事はベーム・ファン、そしてワグネリアンにとって誠に喜ばしい限りである。
因みにキャストの紹介など演奏開始を伝える放送局のナレーションが冒頭に入っている。
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