2022年09月18日

死を10か月後に控えた指揮者とは思えない😲力強くも情熱に満ち溢れた圧倒的な豪演👌ミュンシュ&パリ管のブラームス:交響曲第1番(MQA-CD×UHQCD)


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ミュンシュはライヴ録音においては当然のこと、スタジオ録音でも灼熱のように燃え上がる圧倒的な熱演を披露した。

本盤に収められたブラームスの交響曲第1番は、最晩年にミュンシュがパリ管弦楽団とともにスタジオ録音を行った4点の録音のうちの1点に相当するが、死を10か月後に控えた指揮者とは思えないような力強くも情熱に満ち溢れた圧倒的な豪演に仕上がっている。

冒頭の序奏からしてひたすら音楽を前進させようという強靭な意思が漲っている。

その後は、変幻自在のテンポ設定や思い切った強弱の変化などを駆使して、ドラマティックの極みとも言うべき劇的な演奏を展開する。

とりわけ第1楽章や終楽章におけるトゥッティに向けて畳み掛けていくような気迫は、我々聴き手の度肝を抜くのに十分な圧倒的な迫力を誇っている。

第2楽章などにおける心を込め抜いた歌い方は、豊麗な情感に満ち溢れており、切れば血が噴き出てくるようなミュンシュの熱き歌心がひしひしと伝わってくるなど実に感動的だ。

パリ管弦楽団も、火の玉のような燃え上がったミュンシュの壮絶な入魂の指揮に必死でついていっており、アンサンブルが乱れる寸前のところで踏みとどまっているかのようなスリリングな演奏が、本演奏の圧倒的な迫力に更なる拍車をかけているのを忘れてはならない。

いずれにしても、本演奏は、ミュンシュが成し遂げた様々な名演の中でも、同時期に録音された幻想交響曲(1967年)と並んで最上位に掲げられる超名演であると高く評価したい。

ただ、ブラームスの「第1」の演奏としては、例えば「名曲名盤300選」などで多くの音楽評論家がトップに推薦しているように本演奏が絶対的かつ理想的な名演かと言うと、一つの方向性としてはあり得るとは思うが、何か違うのではないかと言わざるを得ない。

ましてや、とある影響力の大きい音楽評論家が本演奏について、「フルトヴェングラー以上にフルトヴェングラーらしいドイツ的な名演」などと評しているが、これほどフルトヴェングラーを、そしてミュンシュを冒涜する言葉はないだろう。

それは、フルトヴェングラーによる同曲の様々な録音を聴けば容易に理解し得るところであるし、これはあくまでもミュンシュによる演奏なのだ。

筆者としては、本演奏が至高の超名演であることを十分に認めはするものの、同じように熱演であっても、剛毅にして重厚さを保ちつつ速めのインテンポで一気呵成に全体を巧みに纏め上げたベーム&ベルリン・フィルによる超名演(1959年)の方によりブラームスらしさを感じるということを、この場を借りて指摘をしておきたい。

録音は従来盤が全く冴えない音質で大きな問題があったが、ハイレゾCD(MQA-CD×UHQCD)によって、驚異的な高音質に蘇った。

ハイレゾも聴ける高音質ディスクの演奏を、手持ちの旧盤と比較しながら聴いてみたのだが、音が伸びない不満を感じる旧盤に対し、この新盤は、全く別の演奏かと聴きまごうほど、ダイナミックレンジが大幅に改善されている。

特に最強音の音域の広がりは、想像を絶するほどであり、ミュンシュのスケールの大きい白熱の演奏の真価が、より鮮明に伝わってくるようになっているのだ。

ミュンシュ&パリ管弦楽団による歴史的かつ奇跡的な名演奏を、このような最新の技術で鮮やかに蘇った高音質録音で味わうことができるのを大いに喜びたい。

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classicalmusic at 14:28コメント(4)ブラームス | ミュンシュ 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2022年09月21日 23:21
5 今でも色褪せない圧倒的な凄演です。繰り返しの原典版を持ちいていない47分以上の演奏なので,じっくりとブラームスが完成に20年もの年月を要した交響曲に向き合っています。フィナーレのコーダ前のティンパニの挿入も実に効果的でした。私も最高の名演として評価しますが,フルトヴェングラー以上にフルトヴェングラーらしいドイツ的な名演という意見には私も組しません。金管はやや金属的な響きがして,やはりフランス的要素が有るからです。でも録音が冴えなかったのは事実,その点ハイレゾ盤は大幅に改善されているのでしょうか。その点が気になります。
2. Posted by 和田   2022年09月22日 02:34
まず、当時のEMIの録音の特色でもあったのですが、この頃の録音には、クリアーさに欠ける部分があるのがどうしても欠点として残ります。もうレッグは身を引いていたのでしょうか?ミュンシュ最晩年の演奏ですが、その気迫に目をみはる圧倒的な名演です。冒頭から遅いテンポをとった雄渾な表現で、スケールが大きいです。ミュンシュのテンポは総じて遅く、劇的表出力が強くてかなり粘り強い表現をしています。特に第1楽章は、堂々と粘着力をもって情熱的に盛り上げてゆきますが、その力の強く逞しいことは驚くばかりです。第1,4楽章では、情熱が開放されて、響きは明るさと重量感を兼ね備えています。また4つの楽章を、造形的にもそれぞれの特質を発揮するようにまとめていて、劇性と抒情性が美しくバランスしています。オーケストラも彼の意図する曲の燃えるような情熱を余すところなく表現しつくしています。総じて、胸を広げて、深くすべてを飲みほそうとする力強い呼吸が感じられます。これほど音楽的に内容の濃いブラームスは、余り例がありません。
3. Posted by 小島晶二   2022年09月22日 05:54
レッグがEMIを退社してフリーになったのが1963年。この録音は1968年1月ですから,彼はもう居ません。更にレッグはこの録音の前年に心臓発作を患っており,完全主義者の彼もシュヴァルツコップ専属マネージャーの様な存在になっていました。しかし彼はフルトヴェングラー,カラヤンそしてクレンペラーと深く係わる事の出来た唯一の人物として歴史に名を残しましたね。好々爺の様に思われていたミュンシュがパリ管を得て,鬼神の様な凄演を残してくれた事が彼の命を縮めてしまったのは残念でした。
4. Posted by 和田   2022年09月22日 06:06
やはりそうでしたか。EMIのウォルター・レッグがプロデュースした録音は、デッカ録音とはまた趣の異なった、暖気に満ちた気品のある精妙な音づくりも魅力をいや増していました。ベームの《コジ・ファン・トゥッテ》が最後の頃ですね。退社以降、EMIは凋落の一途をたどりましたね。

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Profile

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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