2014年04月08日
クナッパーツブッシュ&ブレーメン国立フィルのベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」(1951年ライヴ)
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クナッパーツブッシュ指揮による『エロイカ』の録音は、現在のところ4種存在する。
その中で、最も異彩の光を放つのが、このブレーメン盤であり、それにしても常識では語れないベートーヴェンである。
第1楽章冒頭の2つの和音、その間の息苦しいまでの沈黙に耐えるのは容易ではない。
巨人の踏み鳴らす足音のような凄絶さは、他の3種の録音を凌駕するものだ。
続く主部も今にも音楽が止まるのではないかと思わせるほどの超スローテンポに始まるが、さすがのクナッパーツブッシュも、このテンポを最後まで維持することはできなかったのだろう。
すぐに軌道修正していく様が面白い(その後のテンポは案外速めだ)。
全体に最晩年のクナッパーツブッシュとは違った若く強靭な生命感があるのが大きな魅力である。
第2楽章「葬送行進曲」は、硝煙くすぶる荒れ果てた戦の跡が目に浮かぶように始まる。
オケの色彩感が乏しい分、暗めのモノトーンの音色が一層凄味を醸し出しており、葬儀への参列者に襲いかかる突発的な嗚咽のようで痛々しい。
第3楽章では、オーボエに歌われたテーマが、弦や他の管楽器と共にフォルティッシモで歌われるところは、肉を斬って骨を断つような音の抉りの深さに恐れ入る。
トリオのホルンの最強奏は、聴くたびに魂を震撼させられる。
クナッパーツブッシュの胆力の為せる技であり、単なる大音響でないことは明らかである。
フィナーレも冒頭の遅いテンポが素晴らしい。
すべての16分音符が見えるようであり、剣の達人の技をスローモーションで解析するような趣がある。
ポコ・アダージョの深々とした響きも良いし、コーダのプレストも慌てず騒がず『エロイカ』のラストに相応しい堂々たる終結である。
当盤は正規の国内盤としてターラから出ているが、音の歪みもなく、情報量も圧倒的に多い。
マイクの捉えた演奏の凄絶さも克明に伝えてくれている。
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