2022年09月24日
🪨クナッパーツブッシュの4種の『エロイカ』で最もバランスの取れたミュンヘン・フィルとのベートーヴェン:交響曲第3番(1953年ライヴ)👍平林直哉氏復刻
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
クナッパーツブッシュの面目躍如いった演奏だが、ブレーメン盤の異形をオーソドックスな器に封じ込めたもの、と言うことができる。
全体に客観性を増した演奏と言えようが、異形さが封じ込められた分、かえって恐ろしさが増すということもあるわけだ。
ミュンヘン・フィルの表現力がブレーメン国立フィルを上回ることで余裕が生まれ、格調の高さも段違いである。
また、極めてロマンティックな表現で、音楽は常にゆとりをもって表情豊かに歌っており、その響きにはコクがある。
第1楽章でのテンポ操作はより自然になり、第2楽章でのスコアの改変もない。
「葬送行進曲」は朗々と歌うなかにヒューマンな感情が表現され、非常に味わい深い。
後半の2つの楽章も悠揚迫らずといった趣があり、至るところにクナッパーツブッシュならではの表情がある。
第3楽章トリオのホルンなど、まるでアルプスの山々が眼前に現れたような伸びやかさである。
フィナーレもより高い視点からスコアを眺めた、スケールの大きさを獲得している。
表現力と造型、音そのものの存在感など、この指揮者の4種の『エロイカ』の録音の中で、最もバランスの取れた演奏として評価しておきたい。
筆者は必ずしもこの演奏を愛聴しているとは言えず、当レビューを書くために久々に聴いたのであるが、この『エロイカ』のような演奏が、コンサートに集まった聴衆を唖然とさせ、一回性の魔術で呪縛したことは容易に想像できる。
全くユニークで、特異な芸風がよく表れた演奏と言うほかない。
グランドスラムから発売された当国内盤のCDは、既出のものに較べ音質が改善されており、この種のものとしては録音も良好である。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。