2014年04月09日

クナッパーツブッシュ&ウィーン・フィルのベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」(1962年ライヴ)、他


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クナッパーツブッシュ唯一のウィーン・フィルとの「ブル8」(1961年ライヴ)については、既にレビュー投稿済みなので、ここでは『エロイカ』について述べたい。

この1962年のウィーン・フィルとの『エロイカ』ライヴは、前述のミュンヘン・フィル盤とともにクナッパーツブッシュの巨大さを味わえるのが嬉しい。

第1楽章の凄絶さはブレーメン盤に譲るものの、音の響きを愉しむ高尚な遊びの精神が演奏に桁外れの大きさを与えている。

その点、月並みな論評ながらブルックナー的な演奏と言えるだろう。

クナッパーツブッシュお得意の不意打ちのアクセントもウィーン風に柔らかに翻訳されており、演奏のところどころに可憐な花を咲かせている。

大らかな分、ミュンヘン・フィル盤ほど堅牢な造型ではない。

現実の世界からより自由になった孤高の芸術家の「魂の逍遥」を味わいたい。

第2楽章は、晩年のクナッパーツブッシュとウィーン・フィルだけが創造できた異空間である。

ヴァイオリンの調べに伴う何と言う色香…、喪服を纏った若き未亡人のような妖艶さとでも言おうか。

涙に濡れるオーボエの嘆きも、聴く者の心を濡らさずにはおかない。

中間部の対位法も、晩年のクナッパーツブッシュならではの巨大な音の建築物となっている。

スケルツォもクナ節全開だ。

主部のリズムの何と言う刻みの深さ。トリオでは、クナッパーツブッシュとプレイヤーの微笑ましい心の交流が見て取れる。

ホルンのプレイヤーに向かって「そこは遠慮なく吹いて下さいよ」と合図を送ると「よしきた。任せとけ」とばかりに、とんでもない最強奏で応える。

オケのメンバーは、このようにクナッパーツブッシュに褒められたい一心で張り切る。

クナッパーツブッシュも彼らの頑張りに満足げな表情で応える、というわけだ。

さて、フィナーレの変奏曲こそは、クナッパーツブッシュの真骨頂で、まるでひとりの「英雄」の生涯を回顧するような音のドラマが展開する。

ここには、英雄の台頭、獅子奮迅の活躍から、その失脚と死までが、「叙事詩」のような壮大さで描かれているのである。

ことにテンポを落とすポコ・アダージョ以後の深い感動の歌は、クナッパーツブッシュにしか描けない。

まるでワーグナーの楽劇を聴くようであり、「なるほど、これでこそ『エロイカ』なのだ」という不思議な感動に襲われるのである。

「レオノーレ」序曲第3番も迫真の演奏である。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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