2014年04月10日
クナッパーツブッシュ&バイエルン国立歌劇場管のベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」(バックハウス)/ベートーヴェン:交響曲第8番(1959年ライヴ)
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「皇帝」は、冒頭の部分だけとはいえ、このようなハチャメチャなライヴがよくぞ正規のCDで登場したものである。
しょっぱなからピアノとオーケストラが同時に出るところが、指揮者の棒振りのタイミングの遅さで完全にズレてしまっている。
しかも、2度目はほとんど意図的とさえ思えるほど指揮者の棒が遅いために、ぽっかりと大きく穴があいてしまっているのだ。
恐らく、バックハウスは終演後この行為に激怒したに違いないのだが、それでも両者はその後も何回か共演しているらしく、この怠け者指揮者と実直で正統派のピアニストはどこかで相通じるものがあったのだろう。
しかし、タイプこそ違っても、大きな器を持った演奏家が現代には何と少ないことか。
「第8」にはいろいろな解釈の仕方があるようだが、ぴったりくるのはワインガルトナーやシュミット=イッセルシュテットのようなウィーン風の小味な表現だ。
逆にトスカニーニ、ワルター、フルトヴェングラー、シェルヘンなどは、どことなく違和感が残る。
わけてもクナッパーツブッシュの超スロー・テンポによる極大のスケールと味の濃い演奏はその最たるものだが、このくらい徹底すると有無を言わさず納得させられてしまう。
それというのも、クナの芸術性が抜群だからであろう。
曲の内容は異常にふくらみ、形はデフォルメされ、ものものしくも情熱的に進み、ときには苦しみや怒りとなり、豪傑笑いも見せる。
第1楽章からテンポは遅いが、推進力に溢れた音楽の運びがすばらしい。
第2楽章はデリカシーのあるチャーミングな演奏であり、第3楽章は「気合の入った」メヌエットになっている。
第4楽章は、冒頭が手探りのように始まるところがいかにもクナッパーツブッシュであるが、凛とした立体的な演奏が実に見事である。
クナッパーツブッシュの遅いテンポに何ら違和感のない筆者であるが、曲のしなやかなフォルムからはいささか外れた、特異な「名演」なのだと思う。
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