2022年10月18日
世界を席巻することになる稀代の名コンビ🧑🦳カラヤンは自我を極力抑え🤫ベルリン・フィルに演奏の主導権を委ねたような趣き👍ブルックナー:交響曲第8番
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カラヤンは、ブルックナーの交響曲の第8番を、DVD作品などを除けば、3度スタジオ録音している。
ベルリン・フィルの芸術監督に就任後、間もなくスタジオ録音されたベルリン・フィルとの演奏(1957年)、その後全集に発展する第1弾としてスタジオ録音されたベルリン・フィルとの演奏(1975年)、そして最晩年のウィーン・フィルとの録音(1988年)の3種であるが、本盤に収められた演奏は、その最初のスタジオ録音である(これに加えて、戦前のベルリン国立歌劇場管弦楽団との演奏が存在しているが、第1楽章が欠落しており、本稿ではカウントしないこととしたい)。
この3種の録音は、いずれも優れた名演であるが、それぞれの演奏の録音年代が均等に離れているだけに、録音当時のカラヤンの芸風が窺い知ることができるという意味においても、極めて意義深い演奏であるとも言えるところだ。
本盤の演奏は、後年の演奏、例えば1975年のカラヤン&ベルリン・フィルの全盛期の演奏のようなある種の凄味があるわけではない。
その後は世界を席巻することになるカラヤン&ベルリン・フィルという稀代の名コンビであるが、当時のベルリン・フィルにはフルトヴェングラー時代の主要メンバーが多数在籍していたところであり、カラヤンとしても未だ必ずしもベルリン・フィルを掌握していたとは言い難いと言えるのではないか。
それだけに、カラヤンも自我を極力抑え、むしろベルリン・フィルに演奏の主導権を委ねたような趣きも感じられるところであり、音楽そのものを語らせると言うアプローチは、1988年の最晩年の演奏にも通底するものがある。
もっとも、音楽の精神的な深みという意味においては、最晩年の名演には到底太刀打ちできないものの、その一方で、演奏全体には、壮年期のカラヤンならではの強靭な気迫と生命力が漲っており、それこそが、本演奏の最大の魅力であると言えるのかもしれない。
いずれにしても、本演奏は、カラヤン&ベルリン・フィルが歴史に残る稀代の黄金コンビに発展していくことを十分に予見させるとともに、ブルックナーの音楽の魅力、そして壮年期のカラヤンの力感溢れる芸風などがあらわれた素晴らしい名演と高く評価したい。
音質は、後年の演奏とは異なり、1957年のステレオ初期の録音というハンディがあるが、ARTによるリマスタリングが施されており、壮年期のカラヤンによる素晴らしい名演を高音質で味わうことができるのを大いに喜びたい。
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